資格取得は、自己成長やキャリアアップだけでなく、収入増加にも直結する非常に効果的な手段です。前回の記事で、資格取得がもたらす自己成長や挑戦の楽しさについてお話しましたが、やはり多くの人が関心を持つのは金銭的なメリットです。今回は、資格取得による具体的な収入アップの事例や、長期的な経済的メリットについて詳しく紹介していきます。
資格手当や昇給による収入アップ
資格を取得することで、まず最初に期待できるのが資格手当や昇給です。多くの企業では、特定の資格を取得した従業員に対して資格手当が支給されます。この手当は、毎月の給与に加算される形で支給され、資格を保持している限り受け取ることができます。
具体例
例えば、宅地建物取引士(宅建)や簿記2級など、一般的な資格であれば毎月3,000円〜10,000円程度の手当が支給されることが多いです。これを年間で計算すると、年間36,000円〜120,000円の追加収入となります。
例:25歳で資格を取得した場合25歳で資格を取得し、毎月5,000円の資格手当を受け取ると仮定すると、60歳までの35年間で2,100,000円もの手当が積み重なります。小さな金額でも長期間にわたると大きな収入増となります。
昇給の可能性
資格取得は昇進の条件として設定されていることが多く、昇給のチャンスを広げます。特に技術職や管理職を目指す職場では、資格が必須要件となっており、取得することで昇進しやすくなり、給与ベースが大幅にアップすることが期待されます。
例えば、ITエンジニアがプロジェクトマネージャーの資格を取得することで、管理職に昇進し、年収が数十万円以上アップすることも珍しくありません。
また、企業によってはTOEICで一定のスコアを取得することが昇進の条件になっている場合も多いです。実際に、日本の企業においてTOEICスコアを昇進や昇格の基準にしている割合は次のようなデータがあります(出典:ビジネスで求められる英語力&TOEICの活用実態)
- 基準を設けていないが参考にする:33.3%
- 社員全体の基準として採用:28.6%
- 部門によっては基準として採用:23.8%
このように、TOEICのスコアを昇進や昇格の参考にしている企業は85%以上にあたります、TOEICだけでなく資格や認定を受けることで、昇進の道が開け、年収アップに直結することが多いのです。
資格取得の投資効果
資格取得には、一定の初期費用がかかりますが、長期的に見ると非常に高いリターンを生む自己投資といえます。例えば、簿記2級を取得するための費用が5万円だとしても、資格手当が毎月5,000円支給されれば、1年で元を取ることができます。
長期的なキャリアへの影響
資格は一度取得すると、その効果が長期にわたり持続します。これにより、昇給だけでなく将来的なキャリアや雇用の安定にも大きな影響を与え、資格保有者は転職時にも高く評価されます。
業界別の金銭的メリット
資格が収入に影響を与えるかどうかは業界によって異なります。ここでは、いくつかの主要な業界において、資格取得がどのように収入アップに繋がるかを説明します。
IT業界
IT業界では、資格取得が収入アップに直結することが多く、特に情報処理技術者資格やクラウド関連の資格(例えばAWSやAzure)などが高く評価されています。これらの資格を取得することで、年収が50万円〜100万円アップすることも珍しくありません。例えば、AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイトを取得したエンジニアの年収は、570万円前後で、プロフェッショナル資格を取得すると年収は750万円まで上昇することも期待できます。
また、Azure Solutions Architect資格を取得した場合も同様に、年収500万円台後半から700万円台に達することが一般的です。特にフリーランスとして活動する場合、800万円以上の年収を得ることも可能です。さらに、プロジェクトマネージャーやクラウドエキスパートの資格を持つことで、エンジニアとしてのキャリアをステップアップし、管理職や上級職へと昇進しやすくなるため、さらなる収入増加が期待されます。
医療・福祉業界
医療・福祉業界においても、資格取得が給与に大きく影響します。特に、看護師や介護福祉士などの国家資格は重視されており、これらを取得することで給与が増加します。例えば、看護師が認定看護師や専門看護師の資格を取得することで、資格手当として年間数十万円が支給されることがあります。具体的には、認定看護師に対しては月額5,000円程度の手当が支給されるケースが多く、年間で約6万円の収入増加が見込まれます。
さらに、これらの資格を取得することで、専門職としての信頼が高まり、管理職やリーダー職に昇進することも多く、年収が500万円〜550万円に達することが一般的です。特に大規模病院や特定の分野(例えば母性看護や感染症看護)で働く専門看護師は、年収600万円以上を得るケースもあります。
また、介護福祉士の場合年収が300万円〜400万円程度となることが一般的ですが、介護福祉士の資格を取得すると、資格手当は1万円〜2万円とかなり好待遇で支給されることが多いです。
建築・不動産業界
建築や不動産業界では、宅地建物取引士(宅建)の資格は非常に重要です。土地や建物の取引において必須とされ、不動産業界や金融機関でも資格保有者は高く評価されます。宅建士資格を取得すると、企業によっては月額1万〜3万円の資格手当が支給され、年間で12万円〜36万円の収入増加が見込まれます。
さらに、資格取得により年収は500万円〜600万円に上がることが多く、経験を積んで管理職や営業責任者に昇進すれば、700万円以上の収入を得ることも可能です。資格手当や昇進による年収増加は、長期的なキャリア形成においても大きなメリットとなります。
まとめ
下のグラフは、政府統計が出している賃金構造基本統計調査より独自に算出した、資格取得の有無による生涯賃金のシミュレーションです。
(資格取得の条件は下記としています)
・25歳で資格取得(資格手当5000円)
・資格保有によるスキルアップにより、30歳で課長、45歳で部長に昇進
資格を取得すると、していない場合と比べて生涯収入で7000万円以上の差が開くことも珍しくありません。
資格取得は、自己投資として非常に効果的で、長期的な収入増加とキャリアアップを支える大きな要素です。IT業界、医療・福祉業界、建築・不動産業界のいずれにおいても、資格を取得することで年収が大幅に増加し、長期的な安定した収入が得られます。
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