施設新設や変更の許可申請手続き

法令

消防法と危険物取扱者試験は、危険物の取り扱いに関する重要な法的枠組みを提供します。この記事では、危険物施設の許可申請と手続きに関して試験によく出る部分をわかりやすく解説します。

許可申請手続きの概要

危険物施設を新設、または既存の施設の位置、構造、設備を変更する際には、以下のような許可が必要です。

施設の設置・変更に関する許可

新たに危険物施設を設置する場合、または既存の施設の位置、構造、設備を変更する場合には、所轄の消防長または消防署長の許可が必要です。

消防法第11条第1項に基づき、製造所等の位置、構造または設備を変更する場合には、市町村長等の許可を受ける必要があります。この許可を得た後でなければ、変更の工事に着手してはなりません。

仮使用に関する承認

工事中の変更部分以外の施設を仮に使用する場合や、指定数量以上の危険物を一時的に貯蔵・取り扱う場合には、消防署長の承認が必要です。

10日間を超える貯蔵・取扱い

指定数量以上の危険物を10日間を超えて貯蔵または取り扱う場合には、設置許可申請とは別に特別な許可が必要です。

予防規定に関する許可

危険物施設において予防規定を制定した場合や、既存の許可を受けた予防規定を変更する場合にも許可が必要です。

手続きの種類

申請には、「許可」、「認可」、「承認」、「届出」の手続きがあります。それぞれの手続きについて簡単に説明します。

許可

許可は、危険物施設を設置・変更する際や予防規定を制定・変更する場合に必要です。これは、施設が技術的基準や安全基準に適合していることを確認するための手続きです。

認可

認可は、法律や条例で定められた特定の行為や取り扱いに対して、所轄官庁が承認する手続きです。認可を受けることで、その行為が法的に認められます。例えば、新しい危険物を取り扱う業務を開始する際には、事前に認可が必要となります。

承認

承認は、指定数量以上の危険物を仮に貯蔵し取り扱う場合や、工事中の施設の一部を仮に使用する場合に必要です。これは、一時的な使用や取り扱いに対する許可を意味し、短期間の間に適用されます。承認を得ることで、工事中の安全性を確保しつつ作業を進めることができます。

届出

届出は、一定の条件下での危険物の取り扱いや施設の運用について、所轄官庁に通知する手続きです。届出を行うことで、法的に定められた基準を満たしていることを報告します。例えば、既存の危険物施設の使用を開始する前に、所轄官庁に届出を行う必要があります。

消防法第11条の4によると、製造所等の位置、構造又は設備を変更せずに、貯蔵または取り扱う危険物の品名や数量を変更する場合は、変更の10日前までに市町村長等に届け出る必要があります。

試験問題例1

例題1

法令上、 製造所等の位置、 構造又は設備を変更する場合の手続きとして、次のうち正しいものはどれか。
(1) 変更の工事をしようとする日の10日前までに、市町村長等に届け出なければならない。
(2) 変更の工事に係る部分が完成した後、直ちに市町村長等の許可を受けなければならない。
(3) 変更の工事に着手した後、市町村長等にその旨を届け出なければならない。
(4) 市町村長等の許可を受けてから変更の工事に着手しなければならない。
(5) 市町村長等に変更の計画を届け出てから変更の工事に着手しなければならない。

解説
消防法第11条第1項に基づき、製造所等の位置、構造または設備を変更する場合には、市町村長等の許可を受ける必要があります。この許可を得た後でなければ、変更の工事に着手してはなりません。

各選択肢を詳しく見てみましょう:
(1) 誤り。10日前までに届け出るだけではなく、許可を受ける必要があります。
(2) 誤り。工事が完成した後に許可を受けるのではなく、工事を開始する前に許可を受ける必要があります。
(3) 誤り。工事に着手した後に届け出るのではなく、工事に着手する前に許可を受ける必要があります。
(4) 正解。製造所等の位置、構造または設備を変更する場合には、市町村長等の許可を受けてから変更の工事に着手することが義務付けられています。
(5) 誤り。計画を届け出るだけでなく、変更の工事を開始する前に市町村長等の許可を受ける必要があります。

答え(4)

試験問題例2

例題2

法令上、あらかじめ市町村長等に届け出をしなければならないのはどれか。
(1) 位置、構造又は設備を変更しないで、製造所等で貯蔵し又は取り扱う危険物の品名、数量を変更する場合
(2) 危険物保安監督者を定めなければならない製造所等において、これを定める場合
(3) 危険物保安監督者を定めなければならない製造所等において、これを解任する場合
(4) 製造所等の譲渡又は引渡を受ける場合
(5) 製造所等を廃止する場合

解説
消防法第11条の4によると、製造所等の位置、構造又は設備を変更せずに、貯蔵または取り扱う危険物の品名や数量を変更する場合は、変更の10日前までに市町村長等に届け出る必要があります。他の選択肢に関しては、同様の事前の届け出が法令で規定されていません。

各選択肢を詳しく見てみましょう:
(1) 正解。変更の10日前までに市町村長等に届け出る必要があります。
(2) 誤り。危険物保安監督者を定めた場合は、速やかに市町村長等に届け出る必要がありますが、事前の届け出ではありません。
(3) 誤り。危険物保安監督者を解任した場合も同様に、速やかに市町村長等に届け出る必要がありますが、事前の届け出ではありません。
(4) 誤り。譲受人または引渡を受けた者は、速やかに市町村長等に届け出る必要がありますが、事前の届け出ではありません。
(5) 誤り。製造所等を廃止した場合も速やかに市町村長等に届け出る必要がありますが、事前の届け出ではありません。

答え(1)

まとめ

この記事では、危険物施設の許可申請手続きとその種類について解説しました。製造所等の位置、構造または設備を変更する際の許可申請や、仮使用の承認、予防規定の変更許可など、重要なポイントを押さえました。試験問題例も含め、実際の試験対策にも役立ててください。

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