危険物取扱者試験を受験する際には、指定数量の概念とその倍率算出方法を正確に理解することが不可欠です。指定数量とは、消防法に基づき、特定の危険物の種類ごとに定められた量のことで、この量を超える場合には特別な規制や取り扱いが必要となります。この記事では、指定数量の倍率算出方法と、その試験における重要性について詳しく解説します。
指定数量の基本概念
指定数量は、消防法第10条に基づいて設定されており、特定の危険物についてその危険性を考慮して定められています。この数量を超えて危険物を貯蔵・取り扱う場合には、適切な施設や設備を備えることが法律で義務付けられています。
第4類危険物の指定数量
例えば、ガソリン(第1石油類)の指定数量は200リットルです。これは、200リットルを超えるガソリンを保管する場合に特別な貯蔵所が必要となることを意味します。
下記に第4類危険物の指定数量を示しましたのでこれは覚えるようにしておきましょう。
品名 | 性質 | 具体例 | 指定数量 |
---|---|---|---|
特殊引火物 | - | 二硫化炭素 | 50L |
第1石油類 | 非水溶性液体 | ガソリン | 200L |
水溶性液体 | アセトン | 400L | |
アルコール類 | - | エタノール | 400L |
第2石油類 | 非水溶性液体 | 灯油 | 1,000L |
水溶性液体 | 1-ブタノール | 2,000L | |
第3石油類 | 非水溶性液体 | 重油 | 2,000L |
水溶性液体 | グリセリン | 4,000L | |
第4石油類 | - | ギヤー油 | 6,000L |
動植物油類 | - | 大豆油 | 10,000L |
指定数量の倍率算出方法
指定数量の倍率算定は、危険物取扱者試験において出題頻度が高いため、必ず覚えておくべき重要な項目です。消防法第10条第2項では、種類の違う複数の危険物を同一場所で貯蔵または取り扱う場合の指定数量の計算方法が定められています。
指定数量の倍数を算定する手順
1種類の危険物について指定数量の倍数を算定するには、貯蔵または取り扱う数量を当該危険物の指定数量で割ります。
また種類の違う複数の危険物を同一場所で貯蔵、取り扱う場合は、貯蔵、取り扱う危険物の数量をそれぞれの指定数量で割った値を合計した数値が指定数量の倍数となります。
この合計値が1以上だと、その場所は指定数量以上の危険物を貯蔵または取り扱っているとみなされます。
具体例
以下に、具体的な例を示します。
- ガソリン(指定数量200リットル)を150リットル
- 灯油(指定数量1000リットル)を300リットル
この場合、指定数量の倍率は以下のように計算されます。
ガソリン: 150リットル ÷ 200リットル = 0.75
灯油: 300リットル ÷ 1000リットル = 0.30
これらを合計すると、0.75 + 0.30 = 1.05となり、1以上です。したがって、この場合は特別な貯蔵所が必要となります。
危険物取扱者試験における指定数量の扱い
危険物取扱者試験では、指定数量に関する問題が頻出します。受験者は、各危険物の指定数量を覚え、複数の危険物が同一場所で取り扱われる場合の倍率算出方法を理解しておく必要があります。
試験対策のポイント
- 指定数量の暗記: 主要な危険物の指定数量を正確に覚えることが重要です。
- 計算練習: パターンは限られているので算出方法を理解し、計算できるようにする。
試験問題例1
解説
指定数量の倍数の算出は、各危険物の貯蔵量をその指定数量で割って得られる値を合計します。
それぞれの危険物の指定数量は次のとおり。
- ガソリン(第1石油類)の指定数量: 200リットル
- 灯油(第2石油類)の指定数量: 1,000リットル
倍数の計算
- ガソリン: 200リットル ÷ 200リットル = 1
- 灯油: 2,000リットル ÷ 1,000リットル = 2
これらの値を合計すると: 1 + 2 = 3
したがって、指定数量の倍数は3倍となります。ここで、選択肢の確認が必要です。
答え(2)
試験問題例2
解説
先ほどの問題と同様に、各危険物の貯蔵量をその指定数量で割って得られる値を合計します。
指定数量
- アセトン(第4類危険物、第1石油類)の指定数量: 400リットル
- 灯油(第4類危険物、第2石油類)の指定数量: 1,000リットル
- 重油(第4類危険物、第3石油類)の指定数量: 2,000リットル
倍数計算
- アセトン: 600リットル ÷ 400リットル = 1.5
- 灯油: 3,000リットル ÷ 1,000リットル = 3.0
- 重油: 6,000リットル ÷ 2,000リットル = 3.0
これらの値を合計すると: 1.5 + 3.0 + 3.0 = 7.5
したがって、この貯蔵所は指定数量の7.5倍を貯蔵していることになります。
答え(4)
まとめ
指定数量の倍率算出は、消防法において非常に重要な概念であり、危険物取扱者試験でも頻繁に問われます。正確な知識と計算力を身につけることで、試験合格に近づくだけでなく、実際の業務においても安全に危険物を取り扱うための基礎となります。この記事が、指定数量の理解と試験対策に役立つことを願っています。
コメント