熱量と比熱

物理・化学

危険物取扱者試験では、熱に関する基礎概念や比熱、熱容量についての理解が重要です。本記事では、これらの概念について詳しく解説し、試験対策として活用できる練習問題と解説を紹介します。

熱量と温度の基礎概念

物質が温まったり冷えたりする際に関わるのが「熱量」です。この熱量を理解するためには、カロリー(cal)とジュール(J)の関係比熱絶対温度と摂氏温度の関係、および熱容量について知っておくことが大切です。特に「比熱」は物質の温まりやすさや冷めやすさを示す指標として重要です。

カロリー(cal)とジュール(J)の関係

熱量を示す単位には、カロリー(cal)とジュール(J)があります。これらの関係は次の通りです:

定義: 1 cal = 4.186 J
基準: 1 calとは、水1gの温度を14.5℃から15.5℃まで上昇させるのに必要な熱量のことです。この定義は、水の温度変化に基づいています。

比熱(Specific Heat Capacity)

比熱は、物質の温まりやすさや冷めやすさを表す指標で、特に重要です。

定義: 比熱は、物質1gの温度を1K(1℃)上昇させるのに必要な熱量を指します。単位はJ/(g・K)またはJ/(g・℃)で表されます。

特性: 比熱が小さい物質は、少ない熱量で温度が大きく変化するため「温まりやすく冷めやすい」性質があります。例えば、金属は比熱が小さく、温度が急激に変化しやすいです。反対に水のような比熱の大きな物質は、温まりにくく冷めにくい特徴があります。

絶対温度(ケルビン温度)と摂氏温度の関係

温度には摂氏温度(℃)と絶対温度(K)があり、次の関係式で変換できます。

関係式: K(ケルビン温度)= ℃(摂氏温度) + 273

絶対温度は、温度の基準が「絶対零度」(-273℃)であるため、物質のエネルギーの直接的な指標として用いられます。

熱容量(Thermal Capacity)

物質全体がどれだけの熱を蓄えることができるかを示す指標として、熱容量があります。

定義: 熱容量は、物質全体の温度を1℃(または1K)上昇させるのに必要な熱量です。

計算式: 熱容量 = 比熱 × 質量

特性: 熱容量が大きい物質は、温度が上がりにくく、冷めにくいという特徴があります。例えば、水の熱容量は大きいため、海や湖の温度が急激に変化しにくい理由にもなっています。

練習問題例1

例題

熱に関する一般的な説明について、次のうち誤っているものはどれか。
(1) 比熱とは、物質1gの温度を1K(ケルビン)上昇させるのに必要な熱量をいう。
(2) 熱伝導率の大きな物質は、熱を伝えやすい。
(3) 熱が小さい物質は、温まりやすく冷めやすい。
(4) 体膨張率は、液体が最も小さく、気体が最も大きい。
(5) 理想気体の体積は、圧力が一定で温度が1℃上昇すると、0℃のときの体積の約273分の1膨張する。

解説:(4) 体膨張率とは、温度の上昇に伴って体積がどれだけ膨張するかを示す指標で、一般的に固体が最も小さく、気体が最も大きいです。液体の体膨張率は固体よりも大きいものの、気体よりは小さいため誤り。正しくは「固体が最も小さく、気体が最も大きい」です。

答え(4)

練習問題例2

例題

50℃のある物質200gに2.5kJの熱量を与えたところ、温度が60℃に上昇しました。この物質の比熱はいくらか。

(1) 0.25 J/(g・K)
(2) 0.50 J/(g・K)
(3) 0.75 J/(g・K)
(4) 1.00 J/(g・K)
(5) 1.25 J/(g・K)

解説: 比熱は次の式で求められます。

比熱 = 熱量(Q) ÷ (質量(m) × 温度変化(ΔT))

ここで、
熱量 Q = 2500 J、質量 m = 200 g、温度変化 ΔT = 60℃ – 50℃ = 10℃ です。

計算すると、
比熱 = 2500 J ÷ (200 g × 10℃) = 2500 ÷ 2000 = 0.50 J/(g・K)

=1.25 J/(g・K)

答え (5)

まとめ

比熱は物質の温まりやすさや冷めやすさを表す重要な指標であり、危険物取扱者試験で頻出のテーマです。試験対策として、比熱や熱容量、熱伝導などの基礎概念をしっかりと理解し、温度変化に関する問題に対応できるように準備を整えましょう。

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