こんにちは、マナです。今回は、日本酒検定の勉強で学んだ日本酒の製造過程について、シェアしたいと思います。日本酒って、米と水からできているのに、どうしてあんなに奥深い味わいになるんだろうって思いませんか?その答えは、日本酒造りの複雑な製造過程にあります。今日はその全体の流れを見ていきましょう。
1. 精米 – 味わいの土台となる米の準備
日本酒の原料となる米は、普通の食べるお米とは違って「酒造好適米」と呼ばれる特別な米を使います。でも、この米もそのまま使うわけじゃなく、まず「精米」を行います。精米では、米の外側にあるたんぱく質や脂肪を削り取るんです。これが、酒の雑味を取り除くための大切なステップ。
そして、この精米の具合を示すのが「精米歩合」。例えば、精米歩合60%というと、米の40%が削られているということ。精米歩合が低ければ低いほど(つまり、たくさん削れば削るほど)、繊細でフルーティーな味わいのお酒になる傾向があります。一方で、あまり削らないと、米本来の力強い旨味を感じる日本酒に仕上がります。
精米直後の米が発熱しているため、精米が終わったら、しばらく「枯らし」という作業で、その熱を冷まして米を休ませます。これも、美味しい酒を作るための重要なステップなんです。
2. 製麹 – 米を糖に変える麹菌の力
2. 製麹 – 米を糖に変える麹菌の力
次に登場するのが「麹(こうじ)」。麹菌は、日本酒に欠かせない微生物です。蒸した米に麹菌を振りかけて、「製麹」という工程が始まります。麹菌の役割は、米のデンプンを糖に変えること。これを「糖化」といいます。糖化が進まないとアルコール発酵も進まないので、麹は本当に重要な存在です。
麹菌には種類がありますが、日本酒に使われるのは主に「黄麹菌(きこうじきん)」です。この黄麹菌が蒸した米にまんべんなく広がるように管理しながら2日ほど発酵させます。その間、米を混ぜる「切り返し」などの作業を何度も繰り返します。こうして、デンプンが糖に変わり、次の発酵工程の準備が整うんです。
製麹の仕上がりには、「総破精型」と「突き破精型」の2つのタイプがあります。総破精型は麹菌が全体に行き渡り、米が完全に糖化されるため、濃醇な味わいが特徴です。一方で、突き破精型は米の表面を中心に麹菌が広がり、淡麗な酒質を生み出します。どちらの仕上がりを目指すかによって、最終的な日本酒の味わいに大きな影響を与えます。
3. 酒母造り – 酵母の力で発酵を始める
製麹が終わったら、次は「酒母(しゅぼ)」を作ります。酒母は、発酵を進めるための酵母を大量に増やすための基盤です。日本酒の風味や香りは、この酵母が決定的な役割を果たします。
酒母造りには、「速醸酛(そくじょうもと)」と「生酛(きもと)」という2つの方法があります。
- 速醸酛は、乳酸を人工的に加えて発酵を早める方法。これは効率的で、短期間で安定した酒母が作れます。淡麗でキレのある酒に仕上がることが多いです。
- 生酛は、自然の乳酸菌を利用してじっくりと発酵させる昔ながらの方法です。この方法では、乳酸菌が自然に発生するのを待つので時間がかかりますが、その分、深みのある味わいが生まれます。
酒母造りの工程は2週間から1か月ほどかかります。この間、酵母が活発に増殖してアルコール発酵の準備が整います。
4. 醪造り – 日本酒の心臓部分
次に進むのは、「醪(もろみ)造り」。これは、酒母、麹、蒸した米、水を混ぜて発酵を進める工程です。日本酒独特の「並行複発酵」という、糖化とアルコール発酵が同時に進むプロセスがここで行われます。これは他のお酒にはない、日本酒ならではの工程です。
醪造りでは、原料を3回に分けて加える「三段仕込み」という方法が使われます。これにより、酵母が元気に働きながら発酵が安定的に進むんです。
- 初添え:最初に少量の原料を加えます。酵母の環境を整えるためのステップです。
- 仲添え:2日目に中量の原料を加えます。
- 留添え:最後に残りの原料を全て加え、発酵を進めます。
発酵は3週間から5週間続き、その間、アルコールが15%前後まで増えていきます。この醪の状態で、すでに日本酒の香りと味わいの多くが決まります。この間に温度や湿度の管理が非常に重要です。また、甘口か辛口かは、この発酵期間中に決まります。発酵を早めに止めると甘口、完全に進めると辛口になります。
5. 上槽 – 酒を搾り出す工程
発酵が終わったら、次は「上槽(じょうそう)」という工程で、醪を搾ります。この搾り方にもいくつか種類があります。一般的には「圧搾機」で圧力をかけて酒と酒粕を分けますが、特別な場合は「袋吊り」と呼ばれる手法で、袋に醪を入れて自然にしたたり落ちる酒だけを集めることもあります。
搾られた液体は、まだそのまま飲むには早く、さらに調整が必要です。
6. 火入れと貯蔵 – 日本酒を安定させるステップ
搾ったばかりの日本酒は、まだ酵母や酵素が働いている状態です。このままだと品質が安定しないため、「火入れ」という工程で酒を加熱して酵母や酵素の働きを止めます。火入れは、60~65℃で数分間加熱することで行います。
その後、酒を一定期間「貯蔵」します。これにより、味がまろやかになり、香りが整います。貯蔵期間は数か月から数年までさまざまですが、長く貯蔵することで「古酒」と呼ばれる特別な風味を持つ日本酒も作られます。
7. 瓶詰めと仕上げ – ついに完成!
貯蔵が終わったら、最後に「調合」や「割水」を行います。調合では、複数のタンクから酒をブレンドして味を調整し、割水ではアルコール度数を15~16%程度に下げて、飲みやすいバランスに仕上げます。
最後にもう一度火入れを行い、瓶詰めされて出荷されます。こうして、私たちの手元に美味しい日本酒が届くんですね。
まとめ
こうして見てみると、日本酒って本当に手間がかかって作られているんですね。米、水、麹菌、酵母というシンプルな素材から、ここまで多様で奥深い味わいが生まれるなんて、本当に驚きです。これから日本酒を飲むときは、ぜひこの製造過程を思い出して、その味わいの背景にある職人さんたちの技術と努力に感謝しながら楽しんでみてください。
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