危険物の法的定義と分類

法令

多くの方が耳にする「危険物」という言葉は、具体的に法律でその意味が定められています。どのようなものが危険物に該当するかは、消防法によって明確に規定されており、それがどのような特性を持つかによって分類されます。

このトピックは危険物取扱者乙4種の試験で頻繁に出題されるため、危険物の基本的な知識とその重要性について、分かりやすく説明していきます。

危険物とは何か

消防法では「危険物」の定義が明記されています。消防法別表第1に挙げられた物質を危険物と定義し、それらは特定の性質を持っています。たとえば、物質が酸化しやすい、燃えやすい、または自然に火がつく可能性があるなどの性質です。これらの性質に基づいて、その物質がどのように安全に扱われるべきか、どんな予防措置が必要かが決定されます。

危険物の分類

危険物はその化学的特性によって以下のように分類されます。

  • 第1類:酸化性固体 – 火を助長し、他の物質と簡単に反応して火災を引き起こす可能性のある固体。
  • 第2類:可燃性固体 – 火がつきやすく、燃え広がる可能性がある固体。
  • 第3類:自然発火性および禁水性物質 – 自身で発火するか、水と反応して危険な状態を引き起こす固体や液体。
  • 第4類:引火性液体 – 低い温度でも燃え始める可能性がある液体。
  • 第5類:自己反応性物質 – 外部の刺激がなくても化学反応を起こし、多量の熱を発生させたり、爆発的に反応が進行する物質。
  • 第6類:酸化性液体 – 他の物質と酸化反応をし、燃焼や爆発を引き起こす可能性がある液体。

危険物の具体例

それぞれの分類に属する品名は以下の消防法別表1に記されています。

類別性質品名
第1類酸化性固体塩素酸塩類
加塩素酸塩類
無機過酸化物
亜塩素酸塩類
臭素酸塩類
硝酸塩類
よう素酸塩類
過マンガン酸塩類
重クロム酸塩類
第2類可燃性固体硫化りん
赤りん
硫黄
鉄粉
金属粉
マグネシウム
第3類自然発火性物質
禁水性物質
カリウム
ナトリウム
アルキルアルミニウム
アルキルリチウム
黄りん
アルカリ金属
有機金属化合物
金属の水素化物
金属のりん化物
第4類引火性液体特殊引火物
第1石油類
第2石油類
第3石油類
第4石油類
アルコール類
動植物油類
第5類自己反応性物質有機過酸化物
硝酸エステル類
ニトロ化合物
ニトロソ化合物
アゾ化合物
ジアゾ化合物
ヒドラジンの誘導体
ヒドロキシルアミン
ヒドロキシルアミン塩類
第6類酸性化液体過塩素酸
過酸化水素
硫酸
消防法別表1

試験問題例

危険物の定義や分類に関して以下のような問題が出題されます。

例題1

消防法上の危険物について、 次のうち正しいものはどれか。
(1) 第1類から第6類に分類されている。
(2) 類が増すごとに危険性は大きくなる。
(3) 常温(20°C)で固体、液体、気体である。
(4) 引火点が0°C以下の危険物は特類に分類される。
(5) 第4類危険物は、 引火性の固体、液体である。

例題2

法別表第1に掲げる第4類の危険物の品名に該当しないものは、次のうちどれか。
(1) 特殊引火物
(2) 第1石油類
(3) アルコール類
(4) アルキルアルミニウム
(5) 第4石油類

例題3

法別表第1に掲げる第4類の危険物の品名に該当するものは、次のうちどれか。
(1) 塩素酸塩類
(2) 硫黄
(3) 黄リン
(4) ナトリウム
(5) ジエチルエーテル

解答と解説

例題1 解答(1)

(2)危険物の分類はその特性によって分類されていて危険度とは関係ありません。
(3)消防法で危険物に分類されているものはすべて個体と液体であり、気体はありません。
(4) 消防法の定義では特類という分類はありません。
(5) 第4類の危険物は「引火性液体」であり、個体はありません。

例題2 解答(4) 

アルキルアルミニウムとはアルミニウムにアルキル基が結合した化合物の総称で、固体のものと液体のものがあります。これらは空気中の酸素に触れると自然発火するため第3類となります。
また固体があるため第4類「引火性液体」の分類にはあてはまりません。

例題3 解答(5) 

大前提として第4類の危険物はすべて液体なので固体のものは該当しません。
(1) 塩素酸塩類は塩素酸イオンを持つ塩です。食塩と同じく白い結晶状の固体で、第1類です。
(2) 淡黄色の固体で、第2類に分類されています。
(3) こちらも淡黄色の固体で、空気中で自然発火するため第3類に分類されています。
(4) 常温では固体の金属です。水と激しく反応するので第3類に分類されています。
(5) ジエチルエーテルは温度が低くても気化し、引火点が非常に低いため第4類の特殊引火物に分類されます。

まとめ

危険物取扱者の資格試験を受ける際は、これらの基本的な知識をしっかりと把握しておくことが大切です。日常生活でこれらの物質を安全に扱う方法を学び、試験だけでなく実生活においても適切に対応できるよう心掛けましょう。

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