画像生成AIのしくみをやさしく説明する

生成AIのしくみ

「夕焼けの海辺に立つ猫」と文字で入力するだけで、その場面の画像が自動的に生成される。数年前まではSFのような話でしたが、今では誰でもできるようになりました。

Midjourney、DALL-E、Stable Diffusionといった画像生成AIが次々と登場し、イラストやデザインの世界に大きな変化をもたらしています。

この記事では、画像生成AIがどのようにして画像を作り出すのか、そのしくみを専門知識がなくてもわかるようにやさしく説明します。

画像生成AIの基本的な考え方

画像生成AIの基本的なしくみは、大量の画像データからパターンを学習し、そのパターンをもとに新しい画像を作り出すというものです。

文章を作る生成AIが「次に来る単語」を予測するように、画像生成AIは「この場所にはどんな色やかたちが来るべきか」を予測して、ピクセル(画像の最小単位)を一つずつ決めていきます。

ただし、文章のAIとは学習方法やしくみが大きく異なります。現在の主流は「拡散モデル(Diffusion Model)」と呼ばれる技術です。

拡散モデルのしくみ:「ノイズを取り除く」ことで画像を作る

拡散モデルの考え方は、一見すると不思議に聞こえるかもしれません。このモデルは、「ノイズ(ザラザラ)を少しずつ取り除くことで、きれいな画像を作り出す」というアプローチを取ります。

身近なたとえで説明しましょう。

彫刻家のたとえ

石の彫刻を想像してみてください。彫刻家は、大きな石の塊から少しずつ余分な部分を削り取って、美しい像を彫り出します。

拡散モデルも同じです。最初は完全なノイズ(ランダムなザラザラ画像)から始めて、少しずつノイズを取り除いていくことで、最終的にきれいな画像が浮かび上がります。

画像生成AIの学習プロセス

では、AIはどうやって「ノイズの取り除き方」を学ぶのでしょうか。学習は大きく2つのステップで行われます。

ステップ1:画像にノイズを加える(破壊プロセス)

まず、きれいな画像に少しずつノイズ(ザラザラ)を加えていきます。段階的にノイズを増やしていくと、最終的には完全なノイズになり、元の画像が何だったかわからなくなります。

これは、きれいな写真にだんだん砂をかけていくようなものです。最初は何の写真かわかりますが、砂が増えるにつれて見えなくなります。

ステップ2:ノイズを取り除く練習を繰り返す(復元プロセス)

次に、AIに「ノイズが加わった画像から、元のきれいな画像を復元する」練習をさせます。さまざまな画像とさまざまな段階のノイズで、何百万回もこの練習を繰り返すことで、AIは「ノイズの取り除き方」を学びます。

十分に学習すると、AIは完全なノイズ画像からでも、きれいな画像を生成できるようになります。

テキストから画像が作られる流れ

画像生成AIに「夕焼けの海辺」と入力すると画像ができますが、テキストの指示はどのように画像に反映されるのでしょうか。

1. テキストを「意味の表現」に変換する

まず、入力されたテキスト(「夕焼けの海辺」など)を、AIが理解できる数値の表現に変換します。この処理には、言語を理解するAI(テキストエンコーダー)が使われます。

2. テキストの意味を「ガイド」にしてノイズを除去する

ノイズ画像からきれいな画像を復元するとき、テキストの情報を「ガイド」として使います。「夕焼け」という指示があれば、オレンジ色や赤色の方向にノイズを除去し、「海辺」という指示があれば、水平線や波のようなパターンを出現させます。

3. 段階的にきれいな画像にしていく

一度にきれいな画像を作るのではなく、何十回ものステップに分けて少しずつノイズを除去します。各ステップでテキストのガイドを参照しながら、画像を徐々に鮮明にしていきます。

代表的な画像生成AIサービス

現在、さまざまな画像生成AIサービスが利用できます。

  • DALL-E(OpenAI) — ChatGPT内から利用可能。テキスト指示での画像生成と編集ができる
  • Midjourney — アート作品のような高品質な画像生成が得意。Discordから利用する
  • Stable Diffusion — オープンソースで無料利用可能。自分のパソコンでも動かせる
  • Adobe Firefly — Adobeの画像編集ソフトと連携。商用利用を前提に設計されている

これらのサービスでどんなことができるかは、画像生成AIでできることで詳しく紹介しています。

画像生成AIの課題と注意点

著作権の問題

画像生成AIは大量の画像データから学習しています。そのなかにはプロのイラストレーターや写真家の作品が含まれていることもあり、著作権の扱いについては世界中で議論が続いています。

AI画像を使う際の権利関係については、AI画像と肖像権で気をつけることを確認しておくと安心です。

細部の不自然さ

画像生成AIは急速に進化していますが、まだ苦手な部分もあります。特に手の指の本数が正しくなかったり、文字がうまく描けなかったりすることがあります。技術の進歩とともに改善されつつありますが、生成された画像は確認が必要です。

フェイク画像のリスク

実在しない人物の写真や、実際にはない出来事の画像を作ることもできるため、フェイクニュースへの悪用が懸念されています。AI生成画像を見分けるリテラシーがますます重要になっています。

文章AIと画像AIのしくみの違い

最後に、文章生成AIと画像生成AIのしくみの違いを整理しておきましょう。

  • 文章生成AI — 「次の単語」を一つずつ予測して文章を組み立てる
  • 画像生成AI — ノイズ画像から少しずつノイズを除去して画像を浮かび上がらせる

アプローチは大きく異なりますが、「大量のデータからパターンを学習して、新しいコンテンツを生成する」という基本的な考え方は共通しています。

最近では、テキスト・画像・音声など複数の種類のデータを同時に扱える「マルチモーダルAI」も登場しています。詳しくはマルチモーダルAIとは何かをご覧ください。

覚えておきたいポイント

  • 画像生成AIは大量の画像データからパターンを学習して新しい画像を作る
  • 主流の拡散モデルは「ノイズを少しずつ除去する」ことで画像を生成する
  • テキストの指示をガイドにして、指示に合った画像を作り出す
  • 著作権やフェイク画像など、使う際に注意すべき課題もある

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