マンセル表色系は、色を「色相・明度・彩度」の3つの物差しで記号にして表す方法です。「5R 4/14」のような記号は、色相 明度/彩度 の順に読めば迷いません。この記事では、3つの属性の意味と記号の読み方を、表と図で整理します。
このテーマのまとめ:色彩を整理する
マンセル表色系ってどんなもの?
表色系とは、要するに「色を言葉や記号で正確に伝えるためのルールづくり」ということです。「やわらかい赤」と言っても人によって思い浮かべる色は違いますよね。そこで、色を数字や記号に置き換えて、誰が見ても同じ色を指せるようにしたのが表色系です。
マンセル表色系は、色を色相・明度・彩度という3つの属性の組み合わせで表します。日本では、JIS(日本産業規格)の「色の表示方法―三属性による表示」(JIS Z 8721)で表示のしかたが定められています。
※色は画面表示用の近似です。図は説明用の模式図で、実際の色立体の形そのものではありません。
有彩色と無彩色:まず2つに分けて考える
マンセルでは、色をまず「色みがあるか、ないか」で分けて考えます。
- 有彩色:赤・黄・青など、色みのある色。色相・明度・彩度のすべてを持ちます
- 無彩色:白・灰・黒のように、色みのない色。明度だけを持ち、色相はなく、彩度は0として扱います
要するに、有彩色は「3つの数字」、無彩色は「1つの数字」で表す、ということです。この区別が、あとで出てくる記号の書き方の違いにつながります。
色相・明度・彩度のそれぞれの意味
3つの属性を、まず表で整理しましょう。
| 属性 | 何を表すか | 表し方 |
|---|---|---|
| 色相(しきそう) | 赤・黄・青といった「色合い」の違い | 10種類の色相記号と、0〜10の数字 |
| 明度(めいど) | 色の「明るさ」 | 理想的な黒を0、理想的な白を10とする数字 |
| 彩度(さいど) | 色の「鮮やかさ」 | 無彩色を0とし、鮮やかなほど大きくなる数字 |
色相:10の色相を数字で細かく分ける
色相は、R(赤)・YR(黄赤)・Y(黄)・GY(黄緑)・G(緑)・BG(青緑)・B(青)・PB(青紫)・P(紫)・RP(赤紫)の10種類が基本です。それぞれの色相は0〜10の数字で細かく分けられ、10RPと0R、10Rと0YRは同じ位置を指します。つまり、色相は輪のようにつながっています。
輪にした図は、まとめページの色彩を整理するで見られます。
明度:0〜10で明るさを表す
明度は、理想的な黒を0、理想的な白を10として、その間を「明るさの差が同じくらいに感じられる」ように分けた数字です。ただし、理想的な黒と白そのものは色見本で作れないため、実際の色見本は、その手前までの段階で示されます。
彩度:0から始まり、上限は色相で変わる
彩度は、色みのない無彩色(白・灰・黒)を0として、鮮やかになるほど数字が大きくなります。注意したいのは、彩度の最大値は色相や明度によって違うことです。目安として、赤や黄赤の系統は14前後まで、青緑や青の系統は8前後までとされています。
そのため、色立体は円柱のようにきれいな形にならず、色相ごとにでこぼこした形になります。
色立体:3つの属性を1つの立体にまとめる
3つの属性をまとめた立体が色立体です。
- 縦方向:明度(上が白、下が黒)
- 軸のまわり(周方向):色相
- 軸からの距離:彩度(軸から離れるほど鮮やか)
マンセル記号の読み方
有彩色は 色相 明度/彩度 の順に書きます。たとえば「5R 4/14」は、次のように分けて読みます。
| 記号の部分 | 意味 | この例では |
|---|---|---|
| 5R | 色相 | 赤(R)の範囲の真ん中あたり(5) |
| 4 | 明度 | 中間(5)よりやや暗め |
| 14 | 彩度 | かなり高い。鮮やかな赤 |
つまり「5R 4/14」は、やや暗めで、とても鮮やかな赤です。読むときは、スラッシュを「の」と読んで「5R 4の14」とするのが一般的です。
ほかの例も見てみましょう。
| 記号 | 色相 | 明度 | 彩度 | 読み取り |
|---|---|---|---|---|
| 10YR 7/4 | 10YR(黄赤と黄の境目あたり) | 7 | 4 | 明るめで、彩度は低め(落ち着いた色合い) |
| N 6.5 | なし | 6.5 | なし | 色みのない灰色。明るさは6.5 |
無彩色には色相も彩度もないので、N(ニュートラル)に明度だけを書きます。「N 6.5」のように、小数が入ることもあります。
同じ色相でも、明度と彩度で印象が変わる
色相が同じ「5R(赤)」でも、明度と彩度を変えると、ずいぶん違う色になります。数字の大小と見た目の関係を、イメージでつかんでおきましょう(例は読み方の練習用です)。
| 記号 | 明度 | 彩度 | 見た目のイメージ |
|---|---|---|---|
| 5R 4/14 | やや暗め | 高い | 深みのある、鮮やかな赤 |
| 5R 8/4 | 明るい | 低め | 明るくて淡い、やわらかな赤みの色 |
数字が大きいほど、明度なら「明るい」、彩度なら「鮮やか」になる、というルールだけ押さえておけば十分です。
順番を取り違えないコツ
独学で迷いやすいのが、明度と彩度の取り違えです。次の3ステップで読むと、間違いにくくなります。
- 先にアルファベット(色相)を見つける
- スラッシュの左の数字が明度
- スラッシュの右の数字が彩度
「色相・明度・彩度」と3属性を言う順番のまま、左から右へ並んでいる、と覚えておくと安心です。
読み取りの練習
次の記号を、自分で読み取ってみましょう。答えは折りたたんであります。
- ① 2.5G 6/8
- ② 7.5PB 3/10
- ③ N 9
答えを見る
- ① 色相は2.5G(緑の範囲の前のほう)、明度は6、彩度は8です
- ② 色相は7.5PB(青紫の範囲の後ろのほう)、明度は3、彩度は10です
- ③ 無彩色です。色相も彩度もなく、明度は9(白に近い明るさ)です
このように、アルファベットの有無でまず有彩色か無彩色かを見分け、そのあとで数字を読む順番に慣れておくと、問題で慌てずに済みます。
試験での問われ方
マンセル表色系の知識は、次のような形で使うことになります。
- 記号(例:5R 4/14)を見て、色相・明度・彩度を読み取る
- 3つの属性の意味を、言葉と結びつけて答える
- 無彩色の表記(N と明度だけ)を正しく選ぶ
取り違えやすい点は、次の3つです。
- 明度と彩度の順番(スラッシュの左が明度、右が彩度)
- 彩度の上限は一律ではなく、色相や明度で変わること
- 無彩色には彩度の数字を書かないこと
次に読む
- PCCSのトーン:明度と彩度を組み合わせた「トーン」という、マンセルとは別の体系の考え方を学びます。
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このテーマの練習問題:色彩の練習問題


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