PCCSのトーンとは、色の「明度」と「彩度」を組み合わせた色の調子のことです。有彩色には12種類があり、同じトーンなら色相が違っても似た印象になります。この記事では、トーンの名前・略号・トーン図の見方・マンセルとの違いを整理します。
このテーマのまとめ:色彩を整理する
PCCSってどんな体系?
PCCS(日本色研配色体系)は、日本色彩研究所が作った色の体系で、色彩調和や配色を考えやすくする目的で使われます。色を色相(Hue)とトーン(Tone)の2つの系統で整理するのが特徴で、「ヒューアンドトーンシステム」と呼ばれます。
色相は24に分けられています。赤・黄・緑・青の4色を基本に、それぞれの心理補色(要するに、人の感覚で対になる色)を輪の向かい側に置き、間を細かく分けたものです。
トーンとは?
トーンとは、要するに「明るさと鮮やかさをまとめて見た、色の調子」ということです。「淡い」「くすんだ」「深い」といった印象のグループだと考えると分かりやすいですよ。
大事なのは、トーンが同じなら、色相が違っても似た印象になるという点です。たとえば「やわらかいトーン」でそろえれば、赤でも青でも穏やかな雰囲気にまとまります。
トーンの種類と略号(有彩色12種類)
有彩色のトーンは12種類です。名前と略号をセットで覚えましょう。
| トーン名 | 略号 | 特徴 |
|---|---|---|
| ビビッド(vivid) | v | もっとも鮮やかで、さえた色 |
| ブライト(bright) | b | 明るく、はっきりした鮮やかさ |
| ストロング(strong) | s | 強く、力のある鮮やかさ |
| ディープ(deep) | dp | 濃く、深みのある色 |
| ライト(light) | lt | 明るく、軽やかな色 |
| ソフト(soft) | sf | やわらかく、穏やかな色 |
| ダル(dull) | d | 鈍く、くすんだ色 |
| ダーク(dark) | dk | 暗く、重みのある色 |
| ペール(pale) | p | 薄く、淡い色 |
| ライトグレイッシュ(light grayish) | ltg | 明るい灰みを帯びた色 |
| グレイッシュ(grayish) | g | 灰みを帯びた色 |
| ダークグレイッシュ(dark grayish) | dkg | 暗い灰みを帯びた色 |
有彩色とは別に、白・灰・黒の無彩色も段階に分けられています(略号は W・ltGy・mGy・dkGy・Bk)。
略号を覚えるコツ
- 灰みを表す g(grayish) が入るのは、ltg・g・dkg の3つ
- 「明るい」は lt、「暗い」は dk が頭につく
- 鮮やかさの順は、vivid が最も高いと押さえておく
トーン図の見方
トーン図は、トーンの位置関係を一枚にまとめた図です。
※色は画面表示用の近似です。図は赤系を例にした模式図で、位置は目安です。
見方は2つだけです。
- 縦方向:上ほど明るく(明度が高く)、下ほど暗い
- 横方向:右ほど鮮やかで(彩度が高く)、左ほど灰みを帯びる
たとえば、p(ペール)は「上で左寄り」なので、明るくて淡い色。dkg(ダークグレイッシュ)は「下で左寄り」なので、暗くて灰みのある色です。v(ビビッド)は右側にあり、もっとも鮮やかなトーンです。
もう一つ、色相による違いにも注意しましょう。同じトーンでも、黄がもっとも明るく、青紫がもっとも暗いという関係があります。色相が変わると、同じトーンの中でも明るさに差が出るということです。
トーン図の読み取りの練習
位置から、トーンのイメージをつかんでみましょう。
| 位置 | 該当するトーンの例 | 読み取り |
|---|---|---|
| 上で、左寄り | p(ペール) | 明るく、彩度が低い。淡い色 |
| 右端の鮮やかな位置 | v(ビビッド) | 彩度がもっとも高い。さえた色 |
| 下で、左寄り | dkg(ダークグレイッシュ) | 暗く、灰みを帯びた色 |
| 中ほどで、中間の彩度 | d(ダル) | 明るさも鮮やかさも中くらいで、くすんだ色 |
「明るさは上下、鮮やかさは左右」と先に決めておくと、略号を見ただけで位置を思い出しやすくなります。
PCCSでの色の表し方
PCCSの色は、トーンの略号と色相番号を組み合わせて、簡単に表すことができます。たとえば「v2」は、ビビッドトーンの色相2(赤)という意味です。
さらに、色相・明度・彩度の三属性を数字で並べる正式な表し方もあります。PCCSの彩度は、もっとも鮮やかな状態を9sとして、無彩色から等間隔に1s、2s…と分けたものです。
ただし、日常の配色を考える場面では、トーンの略号と色相で整理するほうが扱いやすい体系です。トーンを使うと、「同じ色相で、トーンだけを変える」といった考え方もしやすくなります。
マンセルとの違い
どちらも色を表す体系ですが、考え方が違います。表で比べてみましょう。
| 比べるところ | マンセル表色系 | PCCS |
|---|---|---|
| 色の表し方 | 色相・明度・彩度の三属性 | 色相とトーンの2系統(三属性でも表せる) |
| 色相の数 | 10の色相を、それぞれ0〜10で細分 | 24色相 |
| 彩度の考え方 | 無彩色を0とし、上限は色相や明度で変わる | 最高の鮮やかさを9sとして、無彩色から等間隔に分ける |
| 主な役割 | 色を正確に記録し、伝える | 配色や色彩調和を考えやすくする |
| 規格 | JIS Z 8721で表示方法を規定 | 日本色彩研究所の体系 |
つまり、マンセルは「色を正確に表す物差し」、PCCSは「色の調子で整理して配色を考えやすくする道具」と覚えると、使い分けが見えてきます。マンセルの記号の読み方は、マンセル表色系で詳しく解説しています。
試験での問われ方
PCCSの知識は、次のような形で使うことになります。
- トーンの名前と略号を結びつける
- トーン図上で、明るい・暗い・鮮やか・くすんだ位置を読み取る
- 「トーンは何を組み合わせたものか」を答える
- マンセルとPCCSの違いを区別する
取り違えやすい点は、次のとおりです。
- トーンは「明度と彩度の組み合わせ」で、色相は含まない
- lt と ltg、dk と dkg、d と dp のように、名前や略号が似たトーンの区別
- マンセルの「彩度」とPCCSの「彩度」は、数字の尺度が違う(混ぜて考えない)
次に読む
- 色の心理効果と対比:色の見え方(暖色・寒色、対比、面積効果)を学びます。
- マンセル表色系:色相・明度・彩度の三属性と、記号の読み方を確認します。
- 配色の基本:色の組み合わせ方と、使う量の目安を学びます。
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このテーマの練習問題:色彩の練習問題


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