このページは、日本酒検定3級「原料・製造工程」分野(全25問)の無料模擬試験です。米・水・麹といった原料から仕込みの流れまで、本番と同じ四肢択一形式で確認できます。
「原料・製造工程」分野で問われること
この分野は出題数が最も多く、3級の得点源になりやすい中心分野です。原料では、山田錦・五百万石・美山錦などの酒造好適米や、心白・精米歩合といった米の基礎、軟水・硬水や仕込み水の役割が問われます。製造工程では、精米から洗米・浸漬、蒸米、製麹、仕込み、上槽(搾り)、火入れまでの一連の流れと、三段仕込みの段階(添・仲・留)が頻出です。麹菌や蒸米の使い分けなど、各工程の目的もあわせて押さえておきましょう。
勉強のポイント
工程は順番と「各工程で何をしているか」をセットで覚えるのが近道です。図やフローで全体の流れをイメージし、用語が出てきたら工程のどの位置にあたるかをひもづけましょう。原料は品種名と主要産地、特徴を結びつけて整理しておくと選択肢で迷いにくくなります。出題数が多いぶん、ここを固めると合格ラインがぐっと近づきます。
造りの流れを1本の線でつかむ
この分野は、工程の名前と目的がバラバラに頭に入っていると必ず迷います。問題に進む前に、まず流れを1本の線にしておきましょう。
| 工程 | 何をしているか |
|---|---|
| 精米 | 米の外側を削り、雑味のもとになるタンパク質や脂質を減らす |
| 洗米・浸漬 | 糠を落とし、蒸すのにちょうどよい量の水を吸わせる |
| 蒸米 | デンプンをアルファ化して、麹菌と酵素が働ける状態にする |
| 製麹 | 蒸米に麹菌を繁殖させ、デンプンを糖に変える酵素を造らせる |
| 酒母造り | 乳酸で雑菌を抑えながら、酵母を大量に育てる |
| 仕込み(三段仕込み) | 初添・仲添・留添と3回に分けて仕込み、安全に発酵させる |
| 上槽 | 醪(もろみ)を搾って、酒と酒粕に分ける |
| 火入れ | 加熱して酵母の活動を止め、火落菌を殺す |
この表の「何をしているか」の列が、そのまま出題の答えになります。とくに製麹(麹菌)と酒母造り(酵母)は説明を入れ替えた選択肢がよく出るので、どの微生物を扱う工程なのかで区別してください。
答え合わせと解説(全25問)
ここから下は答えです。先に問題を解いてから読んでください。
間違えた問題は、正解を覚えるだけで終わらせず、なぜ他の選択肢が違うのかまで確認しておくと、本番で似た問われ方をされたときに迷いません。
Q1 酒造好適米の特徴
正解は「粒が大きく、心白の発現率が高い」。外側を大きく削っても砕けないように粒が大きく、中心には麹菌の足がかりになる心白ができます。「タンパク質や脂質が多い」は雑味のもとなので逆で、酒造好適米はむしろ少ないのが特徴です。
Q2 心白が重要とされる理由
正解は「麹菌の菌糸が中に入り込みやすいため」。心白はデンプンの粒がすき間を持って並んでいる部分で、そこに麹菌が食い込んで内部まで菌糸を伸ばせます。白く見えるから良いのではなく、構造がゆるいことに意味があります。
Q3 硬水と軟水の違い
正解は「硬水で造ると濃醇で辛口、軟水で造ると淡麗で甘口の傾向になる」。硬水はミネラルが多く発酵が進みやすいのでしっかりした味に、軟水は発酵が穏やかでやわらかい味になります。灘の宮水が硬水、伏見の水が軟水の代表例です。
Q4 デンプンを糖に変える微生物
正解は「麹菌」。米はそのままでは酵母が食べられません。麹菌が出す酵素がデンプンを糖に分解して、はじめて発酵が始まります。
Q5 酵母の働き
正解は「麹菌が造り出した糖を、アルコールと炭酸ガスに変える」。糖化は麹菌、発酵は酵母。この役割分担が日本酒造りの土台です。
Q6 並行複発酵とは
正解は「一つのタンクで、糖化とアルコール発酵が同時に行われる」。ビールは糖化を終えてから発酵させる単行複発酵です。同じタンクで同時に進むところが日本酒の特徴になります。
Q7 並行複発酵で得られる特徴
正解は「世界でも稀な高いアルコール度数が得られる」。糖が少しずつ供給されるので酵母が高い糖濃度に押しつぶされず、醪の段階で20%前後まで発酵が進みます。
Q8 糖化を担うもの
正解は「麹菌が生成する酵素」。麹菌そのものではなく、麹菌が造った酵素が働く、という書き方で問われます。
Q9 アルコール発酵を担うもの
正解は「酵母」。Q8とセットで、糖化は麹菌の酵素、発酵は酵母、と対にして覚えてください。
Q10 精米の目的
正解は「米の表面にある、雑味の原因となる成分を取り除くため」。米の外側にはタンパク質・脂質・ミネラルが多く、これが雑味や色のもとになります。削ることは味をきれいにすることです。
Q11 精米歩合60%の意味
正解は「米の表面を40%削り取り、60%残した」。精米歩合は残した割合を指します。数字が小さいほどたくさん削っているという関係で、ここは取り違えやすいので注意してください。
Q12 蒸米の目的として誤っているもの
誤っているのは「米のタンパク質を分解する」。蒸米の目的は、デンプンをアルファ化して麹菌と酵素が働ける状態にすること、そして殺菌することです。タンパク質の分解は麹菌の酵素の仕事で、蒸す工程の目的ではありません。
Q13 製麹の目的
正解は「デンプンを糖に変えるための酵素を造らせるため」。麹を造るのは、米に麹菌を生やして酵素を作らせるためです。「一麹、二酛、三造り」と言われるほど重要な工程になります。
Q14 酒母造りの目的
正解は「醪の発酵を主導する強い酵母を育てるため」。酒母は酵母の種を大量に育てる工程です。ここで健全な酵母を確保できるかが、そのあとの発酵の安定を左右します。
Q15 生酛系と速醸系の違い
正解は「生酛系は自然の乳酸菌を利用し、速醸系は醸造用乳酸を添加する」。乳酸をどう手に入れるかの違いです。自然に任せる生酛系は時間がかかり、最初から加える速醸系は短い期間で安全に仕上がります。
Q16 雑菌の汚染を防ぐもの
正解は「乳酸」。酒母を酸性にすることで雑菌が繁殖できなくなり、酵母だけが増えられる環境になります。Q15とつなげて理解しておくと忘れません。
Q17 三段仕込みの目的
正解は「酵母や酸の濃度を急激に薄めず、安全に発酵を進めるため」。一度に全部入れると酵母と乳酸が薄まり、雑菌に負けてしまいます。3回に分けて少しずつ増やすのが要点です。
Q18 三段仕込みの順序
正解は「初添 → 仲添 → 留添」。初添のあとに酵母を増やすための「踊り」という休みを挟み、仲添、留添と続きます。名前と順番がそのまま問われます。
Q19 上槽の説明として誤っているもの
誤っているのは「上槽したての酒は、すでに透明で澄んでいる」。搾りたては細かい澱が残って白く濁っています。このあと澱引きやろ過を経て、澄んだ酒になります。
Q20 火入れの目的
正解は「酵母の活動を止めることと、火落菌の殺菌」。加熱によって酵素を失活させて酵母の働きを止め、同時に火落菌という日本酒特有の腐敗菌を殺します。品質を保つための工程です。
Q21 生酒と火入れ酒
正解は「生酒は一切火入れをせず、火入れ酒は通常2回火入れを行う」。貯蔵前と出荷前の2回が基本です。1回だけのものが生貯蔵酒や生詰酒で、どちらを省いたかで呼び名が変わります。
Q22 生酛と山廃酛
正解は「山廃酛は、生酛で行う山卸しの工程を省略したものである」。山卸しは蒸米をすりつぶす重労働でした。これを省いても酒質は保てるとわかり、「山卸廃止酛」略して山廃と呼ばれます。
Q23 工程の説明として誤っているもの
誤っているのは「製麹は、醪の発酵に必要な酵母を育てる工程である」。酵母を育てるのは酒母造りです。製麹は麹菌に酵素を造らせる工程で、扱う微生物が違います。
Q24 吟醸造りと純米造り
正解は「吟醸造りは醸造アルコールを添加できるが、純米造りは米と米麹と水だけで造る」。「純米」とつけば米・米麹・水のみ。つかない吟醸酒には醸造アルコールを添加できます。両方の条件を満たしたものが純米吟醸酒です。
Q25 各工程の目的として誤っているもの
誤っているのは「酒母造り:デンプンを糖に分解するための麹を造る」。これは製麹の説明です。酒母造りは酵母を育てる工程で、Q23と同じ引っかけ方なのでセットで押さえておくと確実になります。
25問を通して見ると、この分野の出題は「どの微生物が何をしているか」と「工程の順番」の2つにほぼ集約されます。ここが整理できていれば、原料・製造工程は名前のとおり得点源にできます。
