塗料は、何でできているか(成分)・何で薄めるか(水性か溶剤系か)・どんな素地に塗るかの3つで整理します。この記事では、塗料の種類と特徴、素地ごとの向き不向き、自然系塗料の考え方をまとめます(確認日:2026年11月1日)。家具の塗装は、別の記事で扱います。
このテーマのまとめ:仕上げ材料を整理する
塗料のしくみ
塗料の成分
塗料は、塗膜(乾いて固まった膜)になる成分と、それを助ける成分、塗りやすくする成分でできています。
| 成分 | はたらき |
|---|---|
| 樹脂(植物油脂などを含む) | 塗膜をつくる主体。素地を守る |
| 顔料 | 色やつやを出す。水や溶剤に溶けない粉末 |
| 溶剤(水を含む) | 樹脂を溶かして、塗りやすくする。乾くと蒸発する |
| 添加剤 | 少量で、塗膜を均一にしたり、特別な機能を持たせたりする |
水性塗料と溶剤系塗料
| 種類 | 薄めるもの | 特徴 |
|---|---|---|
| 水性(水系)塗料 | 水 | 溶剤系に比べて、臭気が少ない。建築用では、樹脂を水に分散させたエマルション型が代表的 |
| 溶剤系塗料 | シンナーなどの有機溶剤 | 臭気が出やすい。揮発性有機化合物(VOC)の面で、環境や健康への配慮が必要 |
「油性塗料」は、もとは植物油や天然樹脂を使った塗料のことですが、水性に対して、有機溶剤を使う塗料の総称として使われることもあります。
塗膜のでき方
| 型 | 塗膜のでき方 |
|---|---|
| ラッカー型 | 溶剤が揮発して、そのまま塗膜になる |
| 二液硬化型 | 主剤の樹脂と硬化剤が反応して、塗膜になる |
塗装の工程
塗装は、塗料を塗るだけでなく、素地を整えてから、塗り重ねていく手順で進めます。木部の透明塗装を例にすると、次の順になります。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 素地調整 | 汚れを落とし、表面を平滑にする。穴や割れは埋めて、研磨する。仕上がりを左右する工程 |
| 下塗り | 塗料を塗る最初の工程。素地になじませて、上塗りの土台をつくる |
| 中塗り | 下塗りと上塗りの間の工程。面を整える。仕様によっては、中塗りを入れない(下塗りと上塗りの2回塗り) |
| 上塗り | 仕上げの工程。ていねいに塗る。乾燥中にほこりやごみが付かないように注意する |
※木部の例です。素地や塗料の種類で、工程の回数や使う材料は変わります。工事では、製品の仕様書や、仕様書の塗装工事の定めで確認します。
塗料の種類と特徴
| 塗料 | 特徴 | 主な使い方 |
|---|---|---|
| 合成樹脂調合ペイント | フタル酸(アルキド)樹脂を基本にした溶剤系の塗料。鉄部・木部用 | 木部・鉄部の塗装 |
| 合成樹脂エマルションペイント | 合成樹脂を水に分散させた水性塗料。一般的につや消し。屋外での耐候性は、外装用の塗料より劣る | 内装の壁・天井 |
| 耐候性の高い塗料(外装用) | 樹脂の種類で耐候性が違い、フッ素樹脂やシリコン樹脂などは耐候性が高いとされる | 外壁・屋根など |
家具の塗装(ラッカー塗装、オイル仕上げなど)の特徴は、家具の材料と塗装で整理しています。
素地ごとの向き不向き
塗料は、塗る素地(下地)によって、向く種類が変わります。
| 素地 | 向く塗料の例 | 補足 |
|---|---|---|
| 木部 | 合成樹脂調合ペイント(色をつける塗装)、透明塗料など(木目を生かす塗装) | 家具の透明塗装は、別記事で整理 |
| 鉄部 | 合成樹脂調合ペイント | 鉄部・木部用として使われる |
| コンクリート・モルタル・石膏ボードなど(無機質系の下地) | 合成樹脂エマルションペイント | 壁や天井に最も多く使われる |
※素地ごとの適否は、一般的な目安です。実際の工事では、製品の仕様書や、仕様書の塗装工事の定めで確認します。
自然系塗料
自然系塗料(自然塗料)は、天然の油脂や樹脂を主原料とした、浸透して仕上げる油性の塗料と説明されます。合成樹脂の塗料に代わるもの、また住宅内のVOCを減らす工夫として注目されています。
| 種類の例 | 内容 |
|---|---|
| 自然塗料・油性 | 天然の油脂を主原料にした浸透型の塗料 |
| 自然塗料・油性着色 | 顔料で色をつけたもの |
| 自然塗料・ワックス | 蜜蝋などのろうを使った仕上げ |
原料の例として、植物油、蜜蝋、木蝋、漆、柿渋などがあります。木にしみ込ませて仕上げる点は、家具の材料と塗装で説明したオイル仕上げと同じ考え方です。
試験での問われ方
塗料は、協会の審査基準で、構造・構法と仕上げの分野(分野6)の「仕上げ材と仕上げ」にあたります。このテーマは、次のような形で知識を使います。
- 塗料の種類と、特徴・使う素地を結びつける
- 水性塗料と溶剤系塗料の違いを答える
- 自然系塗料の考え方を、合成樹脂塗料と区別する
取り違えやすい点は、次のとおりです。
- 合成樹脂調合ペイント(溶剤系、鉄部・木部用)と、合成樹脂エマルションペイント(水性、内装の壁・天井)の入れ替え
- 水性塗料(水で薄める)と溶剤系塗料(シンナーで薄める)の入れ替え
- 「油性」が、もとの意味(植物油などを使う塗料)と、有機溶剤を使う塗料の総称の、2つの意味で使われること
独学では、塗料名を暗記しがちですが、「何で薄めるか」「どの素地に塗るか」とセットで覚えると、区別しやすくなります。
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