石材とタイルは、石材は「どんな岩か」、タイルは「素地(きじ)の質」で整理します。この記事では、花崗岩・大理石・砂岩の違いと、磁器質・せっ器質・陶器質のタイルの違い、使う場所をまとめます(確認日:2026年11月1日)。
このテーマのまとめ:仕上げ材料を整理する
石材の種類と特徴
石材は、岩石のでき方で、火成岩・堆積岩・変成岩に分けて考えると整理できます。建築で使う代表的な石材を比べます。
| 石材 | 岩石のでき方 | 特徴 | 使われ方の例 |
|---|---|---|---|
| 花崗岩(御影石) | 火成岩(深成岩)。マグマが地下の深いところで固まったもの | 硬くて耐久性がある。磨くと光沢が得られる。火には、やや弱い(石英と長石の膨張のしかたが違うため) | 建築の内外装、敷石、土間、外構 |
| 大理石 | 変成岩。石灰岩が熱や圧力で結晶化したもの | 石材の中では柔らかい部類で、加工しやすい。磨くと美しい光沢が得られる。傷や水分で光沢が落ちることがある | 室内の壁・床、玄関ロビー、暖炉まわり |
| 砂岩 | 堆積岩。石英や長石などの砂粒が固まったもの | 花崗岩・大理石とは、岩石のでき方(堆積岩)が違う | 建築・土木用の石材 |
「御影石」は、もとは花崗岩の呼び名で、石材業界では深成岩をまとめて呼ぶこともあります。
タイルの素地(磁器質・せっ器質・陶器質)
タイルは、規格(JIS A 5209)では、吸水率でⅠ類・Ⅱ類・Ⅲ類に区分されます。業界では、素地の質を表す磁器質・せっ器質・陶器質の呼称が広く使われています。素地の質で、吸水率(水を吸う割合)が変わります。吸水率が低いほど、緻密で水を吸いにくく、外壁や床にも使いやすくなります。
| 規格上の区分 | 業界慣習の呼称(素地の質) | 焼き方・素地 | 吸水性 | 向く場所の例 |
|---|---|---|---|---|
| Ⅰ類 | 磁器質 | 高温(約1,200℃以上)で焼く。緻密 | ほとんど吸水しない | 外壁、玄関床、屋外の床など。用途が最も広い |
| Ⅱ類 | せっ器質 | 磁器質と陶器質の中間 | 磁器質よりやや吸水する | 内装、外装の両方。プールや屋外の床には、あまり向かない |
| Ⅲ類 | 陶器質 | 比較的低い温度で焼く。多孔質 | 吸水しやすい | 主に屋内の壁(キッチン・洗面・トイレなど)。屋外には向かない |
※焼成温度は、製造条件の目安で、規格の値ではありません。磁器質・せっ器質・陶器質は業界慣習の呼称で、規格上の区分(Ⅰ〜Ⅲ類)と、厳密に同じ意味ではありません(Ⅰ類は、旧来の磁器質にほぼ該当しますが、厳密には異なります)。
吸水率の値
タイルの規格(JIS A 5209)では、区分ごとに、吸水率の上限が決まっています。現行の区分の値は、次のとおりです。
| 規格上の区分 | 業界慣習の呼称 | 吸水率(強制吸水率) |
|---|---|---|
| Ⅰ類 | 磁器質 | 3.0%以下 |
| Ⅱ類 | せっ器質 | 10.0%以下 |
| Ⅲ類 | 陶器質 | 50.0%以下 |
※数値の性質:JIS A 5209の現行の区分の値(強制吸水率)です。吸水率は、磁器質が最も小さく、陶器質が最も大きい順になります。
旧規格(2008年の改正前)では、自然吸水率で、磁器質1.0%以下・せっ器質5.0%以下・陶器質22.0%以下とされていました。測り方が違うため、現行の値とは単純に対応しません。古い教材や資料を読むときは、どちらの区分の値かに注意します。
釉薬(ゆうやく)の有無
表面にガラス質の釉薬をかけたタイルを施釉タイル、かけないタイルを無釉タイルといいます。素地の質(磁器質・せっ器質・陶器質)とは、別の分け方です。
使う場所の考え方
| 場所 | 向く素地の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 外壁・屋外の床、玄関 | 磁器質 | 水を吸いにくく、凍結や摩耗に強い素地を選ぶ |
| 内装の壁・床 | 磁器質、せっ器質、陶器質 | 屋内なら、どの素地も使える。陶器質は壁に使うのが主で、床には制限がある |
| 浴室・キッチン・洗面の壁 | 陶器質、せっ器質 | 屋内の水まわりの壁には、陶器質もよく使われる |
床のタイルの選び方や、シート・フロアタイルとの違いは、フローリング・畳・床タイルの種類で整理しています。この記事は、材料としての素地の違いを扱います。
試験での問われ方
石材・タイルは、協会の審査基準で、構造・構法と仕上げの分野(分野6)の「仕上げ材と仕上げ」にあたります。このテーマは、次のような形で知識を使います。
- 花崗岩・大理石・砂岩を、でき方と特徴から区別する
- 磁器質・せっ器質・陶器質を、吸水率の大小と使う場所から区別する
- 施釉タイルと無釉タイルの違いを答える
取り違えやすい点は、次のとおりです。
- 花崗岩(火成岩、硬い)と大理石(変成岩、柔らかい部類)の入れ替え
- 磁器質・せっ器質・陶器質の、吸水率の大小の入れ替え(磁器質が最も小さい)
- 吸水率の値が、現行の区分と旧区分で違うこと(資料の版に注意する)
- 素地の質(磁器質など)と、釉薬の有無(施釉・無釉)を、同じ分け方と思い込むこと
独学では、数値を暗記しがちですが、「焼き締まって緻密なほど、水を吸わない」と、順番で覚えると、思い出しやすくなります。
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