住宅の環境工学は、熱・光・音・空気の4つのテーマで整理すると、全体像がつかめます。省エネは、熱と空気の考え方を生かすテーマです。このページでは、4テーマの要点、覚える順番、確認問題3問をまとめました。迷ったら、このページに戻ってきてくださいね。
分野の入口:構造・環境・設備でまず押さえること
環境工学の4テーマを比べてみよう
まずは、4つのテーマを表で比べます。
| テーマ | 何を整理するか | 試験での問われ方 |
|---|---|---|
| 熱(断熱と結露) | 熱の伝わり方、熱抵抗・熱貫流率、表面結露と内部結露、断熱材と構法 | 用語の意味と大小の向き、結露の種類、防湿層・通気層の位置を答える |
| 光(照度基準) | 照度と輝度の違い、住宅の部屋・生活行為ごとの推奨照度 | 照度と輝度の区別、場所と推奨照度の対応を答える |
| 音(遮音と吸音) | 遮音と吸音の違い、床衝撃音(軽量・重量)と等級、吸音材の種類、床の構法 | 遮音と吸音の区別、LLとLH、L値の向きを答える |
| 空気(換気方式) | 第1種〜第3種換気、24時間換気、シックハウス対策の設備面 | 方式の区別、室内の気圧、換気回数を答える |
熱と空気は、結露や省エネで、つながっています。光は数値の一覧、音は用語と等級、という性格の違いもあります。
熱・光・音・空気の要点
熱(断熱と結露)の要点
- 熱の伝わり方は、伝導・対流・放射の3つ
- 熱抵抗は大きいほど、熱貫流率は小さいほど、断熱性が高い(向きが逆)
- 表面結露は表面の温度が低い部分で起こり、内部結露は壁の中で起こって気づきにくい
- 防湿層は室内側、通気層は外側
光(照度)の要点
- 照度は、光を受ける面の明るさ(lx)。輝度は、見る方向から見た明るさ(cd/m²)
- 住宅の照度基準の数値は推奨照度で、法令が義務づける最低値ではない
音(遮音と吸音)の要点
- 遮音は、音を通さないこと。吸音は、室内で反射させないこと
- 軽量床衝撃音(LL)は、スリッパの歩行音など。重量床衝撃音(LH)は、子どもが走り回る音など
- L値は小さいほど遮音性能が高い
空気(換気方式)の要点
- 第1種は給気・排気とも機械、第2種は給気だけ機械、第3種は排気だけ機械
- 第2種は室内が外気より高い気圧、第3種は低い気圧になる
- 24時間換気は、住宅等の居室で0.5回/h以上(その他の居室は0.3回/h以上)
覚える順番は、この4ステップ
| 順番 | テーマ | この順番にする理由 |
|---|---|---|
| 1 | 熱(断熱と結露) | 熱の伝わり方と結露の仕組みは、省エネや換気の考え方の土台になる |
| 2 | 空気(換気方式) | 結露の対策や省エネと、つながる内容。方式の違いは、給気・排気で整理できる |
| 3 | 音(遮音と吸音) | 用語の意味の区別が中心。熱や空気の学習のあとに、まとめて整理する |
| 4 | 光(照度基準) | 数値の一覧が中心。数字は最後に、推奨照度という性質とあわせて覚える |
省エネは、熱と空気の学習のあとに読むと、考え方がつながります。
各テーマの記事への案内
詳しい説明は、テーマごとの記事にまとめています。
| テーマ | 記事 | ひとこと紹介 |
|---|---|---|
| 熱 | 断熱と結露 | 熱の伝わり方、表面結露と内部結露、断熱材と構法 |
| 光 | 住宅の照度基準の一覧 | 部屋・生活行為別の推奨照度、照度と輝度の違い |
| 音 | 遮音と吸音 | 遮音と吸音、床衝撃音(軽量・重量)と等級、吸音材 |
| 空気 | 換気方式(第1種〜第3種)と24時間換気 | 第1種〜第3種の違い、24時間換気、シックハウス対策の設備面 |
| 省エネ | 住宅の省エネと自然エネルギー | 省エネの考え方、太陽光発電・太陽熱利用、ZEHの概要 |
試験での問われ方のポイント
環境工学の分野で、特に取り違えやすいのは次の3つです。
- 向きが逆の用語:熱抵抗は大きいほど、熱貫流率は小さいほど断熱性が高い。L値は小さいほど遮音性能が高い
- 似た用語の区別:表面結露と内部結露、遮音と吸音、軽量(LL)と重量(LH)、照度と輝度
- 方式の入れ替え:第2種と第3種(給気が機械か、排気が機械か)、室内の気圧の高い・低い
次に読む
- 断熱と結露:まず、熱の伝わり方と結露の仕組みから始めましょう。
確認問題3問
学んだ内容を、3問で確かめてみましょう。答えは折りたたんであります。
問1(熱:防湿層)
壁の断面で、室内の水蒸気が壁の中へ入るのを防ぐ防湿層を設ける位置として、正しいものはどれでしょう。
- ① 断熱材の室内側
- ② 断熱材の室外側(断熱材と通気層の間)
- ③ 通気層の外側(外装材のすぐ内側)
- ④ 内装材の表面(部屋の空気に直接ふれる側)
答えと解説
正解:①
正解の理由:防湿層は、断熱材の室内側に設けます。室内の湿気が壁の中へ入って、冷やされて内部結露になるのを防ぐためです。
他の選択肢が違う理由
- ②:断熱材の室外側に置くと、室内の湿気が断熱材の中へ入ってから止まることになり、断熱材の内部で結露しやすくなります。防湿層は、湿気が入る前に止める位置(断熱材の室内側)です。
- ③:通気層の外側は、湿気を壁の外へ逃がす側です。壁の外側には、湿気を外へ出すための通気層を設けます。防湿層とは役割が逆です。
- ④:防湿層は、壁の中の層で、部屋の空気に直接ふれる表面の仕上げではありません。内装材の裏側(断熱材の室内側)に設けます。
復習先:断熱と結露
問2(音:床衝撃音)
床衝撃音の説明として、正しいものはどれでしょう。
- ① 軽量床衝撃音(LL)は、スリッパの歩行音やスプーンを落とす音のような、軽くて硬い衝撃の音である
- ② 軽量床衝撃音(LL)は、子どもが走り回る音のような、重くて鈍い衝撃の音である
- ③ 重量床衝撃音(LH)は、スリッパの歩行音のような、軽い衝撃の音である
- ④ 重量床衝撃音(LH)は、L値が大きいほど遮音性能が高い
答えと解説
正解:①
正解の理由:軽量床衝撃音(LL)は、スリッパの歩行音や、スプーンを落とす音など、軽くて硬い衝撃の音です。
他の選択肢が違う理由
- ②:子どもが走り回る音や飛び降りる音のような、重くて鈍い衝撃の音は、重量床衝撃音(LH)です。LLとLHが入れ替わっています。
- ③:スリッパの歩行音は、軽量床衝撃音(LL)の例です。
- ④:L値は、小さいほど遮音性能が高くなります。向きが逆です。
復習先:遮音と吸音
問3(空気:換気方式)
排気を換気扇などの機械で行い、給気は換気口から自然に取り入れる方式で、室内が外気より低い気圧になるものはどれでしょう。
- ① 第1種換気
- ② 第2種換気
- ③ 第3種換気
- ④ 温度差換気(重力換気)
答えと解説
正解:③
正解の理由:排気が機械、給気が自然の方式は、第3種換気です。排気で空気を吸い出すため、室内は外気より低い気圧になります。
他の選択肢が違う理由
- ①:第1種換気は、給気も排気も機械で行います。
- ②:第2種換気は、給気が機械、排気が自然です。室内が外気より高い気圧になります。入れ替わりやすいところです。
- ④:温度差換気(重力換気)は、機械を使わない自然換気の一種で、第1種〜第3種のような機械換気の区分ではありません。
練習問題へ
さらに問題を解きたい方は、7問の練習問題を用意しています。
このテーマの練習問題:環境工学の練習問題