バリアフリーの寸法は、どの基準の数値かによって値が違います。同じ「通路の幅」でも、住宅の指針と、建築物の設計標準では、数値が別です。この記事では、国土交通省の2つの資料にもとづき、数値ごとに基準を示して一覧にします(確認日:2026年11月1日)。
出典:国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」(平成13年国土交通省告示第1301号、最終改正 令和4年)、同「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和3年3月改正)
このテーマのまとめ:安全・バリアフリーを整理する/分野の入口:インテリア計画でまず押さえること
根拠になる2つの基準
この記事で使う数値は、次の2つの資料から取っています。
| 資料 | 発行 | 対象 | 版 |
|---|---|---|---|
| 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針 | 国土交通省(平成13年国土交通省告示第1301号) | 高齢者が居住する住宅(設計上の配慮事項) | 最終改正:令和4年3月 |
| 高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準 | 国土交通省 | 建築物全般のバリアフリー設計のガイドライン | 令和3年(2021年)3月 |
※2つの基準は目的も対象も違います。一覧では、数値ごとにどちらの基準かを書いています。建築基準法などの法定値(階段や天井の高さなど)は、法規の数値まとめで確認できます。
住宅の指針(国土交通省告示第1301号)の数値
この指針は、高齢者が居住する住宅について、加齢などで体の機能が低下しても住み続けられるよう、設計上の配慮事項を示したものです。数値には、基本的な措置を示す「基本レベル」と、より高い水準の「推奨レベル」があります。
| 項目 | 基本レベル | 推奨レベル | 補足 |
|---|---|---|---|
| 日常生活空間内の床の段差 | 段差のない構造(5mm以下を含む) | — | 玄関の出入口などは例外あり |
| 階段の手すりの高さ | 踏面の先端から700〜900mm | 同じ(設置は両側) | 基本レベルは少なくとも片側 |
| 通路の有効な幅 | 780mm以上(柱などの箇所は750mm以上) | 850mm以上(柱などの箇所は800mm以上) | 日常生活空間内 |
| 出入口の幅 | 750mm以上(浴室の出入口は600mm以上) | 800mm以上 | 玄関・浴室は通行に有効な幅で判断 |
| 浴室の広さ(一戸建て) | 短辺1,300mm以上、面積2.0㎡以上 | — | 内法寸法 |
| 特定寝室の広さ | 9㎡以上 | 12㎡以上 | 内法寸法 |
※数値の性質:国の指針が示す、設計上の配慮事項の数値です(「基本レベル」「推奨レベル」の区別は指針による)。建築基準法のような、一律に義務づける最低基準とは性質が違います。
建築設計標準(令和3年)の数値
建築設計標準は、建築物のバリアフリー設計を実際にどう進めるかを示すガイドラインです。主要な寸法の意味は、次のとおりです。
| 寸法 | 意味 |
|---|---|
| 80cm | 車いすで通過できる寸法 |
| 90cm | 車いすで通過しやすい寸法 |
| 120cm | 人が横向きになれば、車いすの人とすれ違える寸法 |
| 直径150cm以上の円 | 車いすの人が360°回転できる寸法 |
| 140cm角以上 | 車いすが180°回転できる寸法 |
| 75〜85cm程度 | 手すりの高さの目安(屋内の通路) |
※数値の性質:国土交通省の設計標準が示す標準的な寸法です。電動車いす(座位変換型など)が360°回転するには、直径約160〜180cmの円が必要とされています。
建築物の基準(バリアフリー法)との関係
建築設計標準は、「建築物移動等円滑化基準」(最低限のレベル)と「誘導基準」(望ましいレベル)を、実際の設計に当てはめるための資料でもあります。たとえば、廊下の幅は、基準で120cm以上、誘導基準で180cm以上という数値があります。ただし、この基準の対象は、施設の種類や規模で決まります。一般の住宅の専用部分に、そのまま当てはまるとは限りません。
図で確認:車いすの回転スペースと手すり
数値の覚え方
- 基準とセットで覚える:「750mm以上」は指針の出入口の幅、「120cm」は設計標準の「すれ違える寸法」、というように、数字と基準をセットにします
- 意味で覚える:80cm(通過)、90cm(通過しやすい)、120cm(横向きの人とすれ違える)、140cm角(180°回転)、直径150cm(360°回転)は、車いすの動作とつなげると整理しやすくなります
- 単位に注意:指針はmm、設計標準はcmで書かれています。750mm=75cmです
独学だと、「手すりは何cmか」と1つの数字だけ覚えたくなりますが、階段の手すりと、廊下の手すりでは基準が違うことがあります。表のように、場所と基準を区別して確認しましょう。


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