階段は、形式(かたち)・部位の名称・蹴上げと踏面の組み合わせの3つで整理すると、全体がつかめます。この記事では、構造と名称、歩きやすさの目安になる関係式を整理します。法令で決まっている数値は、別の記事に任せています(確認日:2026年11月1日)。
このテーマのまとめ:構造・構法を整理する
階段の形式
階段は、上り下りの向きの変え方で、次のように分けます。
| 形式 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 直階段 | 上下の床を、一直線に結ぶ | 単純な形。階段の長さが必要になる |
| 折れ階段(かね折れ階段・折返し階段) | 途中で向きを変える。90度で折れるもの、180度で折り返すものがある | 踊場を設けて、向きを変えることが多い |
| 回り階段 | 途中に踊場を設けず、扇形の踏面で向きを変える | 省スペースになるが、踏面の形が一定にならない |
| らせん階段 | 中心の柱のまわりを、らせん状に上る | 最も狭い面積で設置できる。踏面は三角形に近くなる |
階段の部位の名称
※図は、名称と位置を示す模式図です。段数や寸法は実際とは異なります。
| 部位 | 内容 |
|---|---|
| 段板(踏み板) | 足をのせる水平の板。その奥行きを「踏面」という |
| 蹴込み板 | 段と段の間をふさぐ、垂直の板 |
| 蹴上げ | 1段の高さ(寸法の名前) |
| 段鼻 | 段板の、手前の端(蹴込み板より前に出た部分) |
| 側桁 | 階段の両側に斜めに渡して、段板と蹴込み板を支える桁 |
| 簓桁(ささらげた) | 上面を段の形に刻んで、段板をのせる桁 |
| 踊場 | 階段の途中にある、平らな部分。向きを変える場所や、長い階段の途中に設ける |
| 手すり・手すり子 | 転落を防ぐために設ける部材 |
「踏面」と「蹴上げ」は、寸法の名前でもあります。上り下りのしやすさや、法令の決まりは、この2つの寸法で考えます。
蹴上げと踏面の関係式
蹴上げ(R)と踏面(T)は、組み合わせで歩きやすさが決まります。国の指針(住戸内の階段)では、次の関係式が示されています。
蹴上げ×2+踏面が、550mm以上650mm以下
次の表は、指針が定める住戸内の階段(専用部分)の条件です。
| 区分 | 勾配 | 蹴上げ×2+踏面 | 踏面 | 蹴込み |
|---|---|---|---|---|
| 基本レベル | 22/21以下 | 550mm以上650mm以下 | 195mm以上 | 30mm以下 |
| 推奨レベル | 6/7以下 | 550mm以上650mm以下 | (単独の規定なし。関係式で定める) | 30mm以下で、蹴込み板を設ける |
共用階段(一戸建て以外の住宅)の基本レベルでは、踏面は240mm以上で、関係式は同じ550〜650mmです。195mmは住戸内の階段に限る数値で、共用階段とは別です。
※数値の性質:「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」(平成13年国土交通省告示第1301号。住戸内の階段は第2の2(5))で定められた、配慮の基準です。住宅性能表示制度の高齢者等配慮対策等級でも使われます。建築基準法の最低値ではありません。ホームエレベーターを設ける場合の例外が、指針にはあります。
この式では、蹴上げを高くしたら踏面を短く、低くしたら踏面を長く、と、2つの寸法はセットで調整することになります。
法令の数値との違い
住宅の階段の蹴上げ・踏面・幅には、建築基準法施行令第23条で決められた数値があります。これは法令の数値で、上の関係式(指針の数値)とは、別のものです。法令の数値は、法規の数値まとめに一覧があり、規定の内容は、階段の規定で解説します。
安全な階段の計画
階段は、転倒・転落が起きやすい場所です。計画では、次の点に気をつけます。
- 手すり:転落・転倒を防ぐために設ける。設置の考え方と高さは、家庭内事故の防止で整理している
- 形式の選び方:回り階段は省スペースですが、踏面の形が一定になりません。高齢者の住まいでの配慮は、高齢者の住まいで整理している
- 明るさ・見え方:段が暗いと、踏み外しやすい。照明と、段の縁の見やすさに配慮する
試験での問われ方
階段は、協会の審査基準で、一次試験の分野6「構造・構法と仕上げ」にあたります。このテーマは、次のような形で知識を使います。
- 部位の名前(段板・蹴込み板・段鼻・側桁など)と、位置を結びつける
- 階段の形式(直階段・折れ階段・回り階段・らせん階段)を、特徴から区別する
- 蹴上げ・踏面の意味と、関係式を答える
取り違えやすい点は、次のとおりです。
- 蹴上げは「高さ」、踏面は「足をのせる奥行き」。入れ替えない
- 蹴込み板は垂直の板、段板は水平の板
- 関係式(蹴上げ×2+踏面、550〜650mm)は指針の配慮の基準、法令の数値は建築基準法施行令の決まり。混ぜて覚えない
- 踏面195mm以上は、指針の住戸内の階段の基本レベル。共用階段は240mm以上
- 回り階段は、踊場がなく、扇形の踏面で向きを変える(踊場を設ける折れ階段とは違う)
独学では、図で「R(蹴上げ)」と「T(踏面)」の位置を確認してから、数値を覚えると、入れ替わりにくくなります。
次に読む
- 構造・構法の練習問題:このテーマの問題で、理解を確認します。
- 造作材と建具:幅木・廻り縁などの造作材と、建具を整理します。
- 階段の規定:階段の、法令による決まりと適用条件を整理します。


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