排水トラップと破封|封水の深さ・種類・原因と通気

構造・環境・設備

排水トラップは、排水管の途中に水(封水)をためて、下水の臭い・ガス・害虫が室内に入るのを防ぐ装置です。封水が失われることを破封といいます。この記事では、トラップの種類、破封の原因と対策、通気の役割を整理します(確認日:2026年11月1日)。

このテーマのまとめ:住宅設備を整理する

トラップの種類と封水

洗面器・キッチンのシンク・浴室の排水口など、排水管につながる器具には、原則としてトラップを設けます。トラップの水が、排水管側と室内側の間をふさぎます。

排水管がU字形に曲がり、底にたまった水(封水)が管をふさいでいる様子を横から見た図。水面の高さと、管の下端の高さの間が封水深で、5〜10cmと示している。水面が下端の高さまで下がると、臭いが通るようになる。

※図は、考え方を示す模式図です。

封水深

封水の深さ(封水深)は、建築基準法に基づく告示(昭和50年建設省告示第1597号 第二 第三号)で、5cm以上10cm以下(50〜100mm)と定められています(阻集器を兼ねる排水トラップは5cm以上)。

※数値の性質:法令(告示)で定める値です。

深すぎると、水の流れによる自然な掃除(自浄作用)が弱くなります。

トラップの種類

種類形・特徴注意点
Pトラップ壁に水平に抜ける。最も安定した形とされる洗面器やシンクなどに広く使われる
Sトラップ床に抜ける。S字に曲がる自己サイホン作用や毛細管現象が起こりやすい
Uトラップ出入口がともに水平。U字の形底に沈殿物がたまりやすい
ドラムトラップドラム形の、大きな水封部をもつ水量が多く、破封しにくい。清掃用の流しなどに使う
わん(ベル)トラップお椀を伏せたような形封水が浅く、破封しやすい。椀部を外すと機能を失う

二重トラップは避ける

同じ告示は、二重トラップとならないように設けることを定めています。器具のトラップは、1器具に1個が原則です。二重にすると、排水の流通を妨げるためです。また告示は、汚物などが付着・沈殿しない措置と、容易に掃除できる措置も求めています(底に沈殿物がたまりやすいUトラップでは、特に注意します)。

破封の原因と対策

封水が失われる原因は、次のとおりです。

原因内容対策の例
自己サイホン作用洗面器に水をためて流すと、器具・トラップ・排水管が連続したサイホンのように働き、封水が吸い出される器具、トラップ、配管の組み合わせを適切にする。通気を設ける
吸出し作用(誘導サイホン作用)排水の縦管の上から大量の水が流れ落ちると、近くのトラップの水が一緒に吸い出される通気を設ける
はね出し作用縦管に近い横管などに、大量の排水が一度に流れ、空気に押されて、封水が室内側へ吹き上がる通気を設ける
毛細管現象毛髪や糸くずなどが、トラップの出口から垂れ下がり、水が少しずつ流れていってしまう掃除をして、異物が垂れ下がらないようにする
蒸発長い間、排水が流れないと、封水が蒸発して減る使わない器具も、ときどき水を流す

「自己サイホン作用」と「吸出し作用」は、名前が似ていますが、起こる場所が違います。自己サイホンは、その器具自身の排水で起こります。吸出しは、別の器具からの大量の排水で起こります。

通気

通気管は、排水管内の空気が自由に流れるようにして、管内の気圧を大気と同じに保つための管です。管内の気圧が大きく変わると、封水が吸い出されたり、はね出したりします。通気を設けると、これを防げます。

通気には、器具のトラップごとに設ける各個通気と、複数の器具のトラップを共通の通気管で結ぶ方式(ループ通気など)があります。建物の状況や費用を考えて選びます。

通気で防ぎやすいのは、自己サイホン作用、吸出し作用、はね出し作用です。蒸発や毛細管現象は、通気では防げないため、水を補う、掃除をする、といった対策をします。

試験での問われ方

排水トラップは、協会の審査基準で、分野7「環境と設備」の設備の範囲にあたります。このテーマは、次のような形で知識を使います。

  • トラップの役割(臭気・ガス・害虫の防止)と、封水の意味を答える
  • 破封の原因と、その名前を結びつける
  • 通気の役割を答える

取り違えやすい点は、次のとおりです。

  • 自己サイホン作用(その器具自身の排水)と、吸出し作用(別の器具の大量排水)の入れ替え
  • 封水深(5cm以上10cm以下)を、深いほど良いと考えること。深すぎると、自浄作用が弱くなる
  • 二重トラップは禁止であること
  • 蒸発と毛細管現象は、通気では防げないこと

独学では、破封の原因を「自分で吸う、人に吸われる、はね出す、乾く、毛がたれる」のように、短く並べて覚えると、区別しやすくなります。

次に読む

コメント

タイトルとURLをコピーしました