建築基準法のシックハウス規制は、クロルピリホス(使用禁止)とホルムアルデヒド(内装の使用制限)の2つの化学物質を対象に、さらに換気設備の設置を求めます(法第28条の2)。この記事では、規制の内容、F☆☆☆☆の意味、換気設備、取り違えやすい点を整理します(確認日:2026年11月1日)。法令は改正されることがあるので、受験する年度の公式教材と、最新の条文(e-Gov法令検索)でも確認してください。
このテーマのまとめ:建築基準法を整理する
シックハウス規制の全体像
シックハウス対策の規制は、平成15年(2003年)7月1日に施行されました。規制の対象は、居室を有する建築物です。規制の内容は、次の3つに分けて覚えます(法第28条の2、施行令第20条の5〜第20条の9)。
| 規制 | 対象 | 内容 | 条項 |
|---|---|---|---|
| ① クロルピリホス | しろあり駆除剤などに使われる化学物質 | 使用を禁止する(添加した建築材料を使わない) | 施行令第20条の6 |
| ② ホルムアルデヒド | 内装仕上げに使う建築材料 | 発散の程度に応じて、使用を制限する | 施行令第20条の7 |
| ③ 換気設備 | 居室を有するすべての建築物 | 原則として機械換気設備の設置を義務づける | 施行令第20条の8 |
このほか、天井裏などから居室へ、ホルムアルデヒドが入りにくくする措置も必要です。
① クロルピリホス:使用禁止
クロルピリホスは、しろあり駆除剤に使われていた化学物質です。居室を有する建築物には、クロルピリホスを添加した建築材料を使うことが禁止されています。「使用面積を制限する」ではなく、禁止です。ただし、建築物に用いられた状態で、添加から5年以上たったものは、禁止の対象から除かれます。
② ホルムアルデヒド:内装仕上げの使用制限
ホルムアルデヒドは、合板や壁紙の接着剤などに含まれることがある化学物質です。建築基準法では、ホルムアルデヒドを発散する建築材料を、発散の程度で3種類と、規制対象外に分けます(施行令第20条の7第1項第1号・第2号)。
| 区分 | 発散速度(㎡・1時間あたり) | 等級の表示 | 内装仕上げの扱い |
|---|---|---|---|
| 第1種 | 0.12mg超 | 旧E2、Fc2相当、等級の表示がないもの | 使用を禁止 |
| 第2種 | 0.02mg超〜0.12mg以下 | F☆☆ | 使用面積を制限 |
| 第3種 | 0.005mg超〜0.02mg以下 | F☆☆☆ | 使用面積を制限 |
| 規制対象外 | 0.005mg以下 | F☆☆☆☆ | 制限なしに使える |
※数値の性質:発散速度は、材料から発散するホルムアルデヒドの量の区分の境目を示す数値です。第1種は使用が禁止され、第2種・第3種は使用面積が制限されます(施行令第20条の7)。
F☆☆☆☆(フォースター)は、ホルムアルデヒドの発散が最も少ない等級で、居室の内装仕上げに制限なく使える材料です。星の数が多いほど、発散が少なくなります。マークの全体は、品質表示マーク一覧で整理しています。
使用面積の制限は、材料の種類ごとの面積に、換気回数などで決まる係数をかけて合計し、居室の床面積以内に収める考え方です。式や係数は、公式教材で確認してください。
規制の対象になる材料
規制を受けるのは、国土交通省の告示で決められた建築材料です。告示の対象外の材料は、ホルムアルデヒドの発散がほとんどないため、規制を受けずに使えます。
③ 換気設備の設置
ホルムアルデヒドは、内装の材料だけでなく、家具などからも発散します。そのため、内装にF☆☆☆☆以外の材料を使わない場合でも、居室を有する建築物には、原則として機械換気設備の設置が義務づけられています(施行令第20条の8。換気回数は同条で定められています。住宅等の居室0.5回/h、その他の居室0.3回/h)。
住宅などの居室では、換気回数0.5回/h以上(1時間に、部屋の空気の半分以上を入れ替える換気量)が必要です。それ以外の居室では、0.3回/h以上です。この換気設備は、ふだんから運転しておくいわゆる24時間換気システムとして設置するのが一般的です。
| 居室の区分 | 換気回数 |
|---|---|
| 住宅等の居室 | 0.5回/h以上 |
| その他の居室 | 0.3回/h以上 |
※数値の性質:換気回数0.5回/hと0.3回/hは、法定の最低値です(適用は平成15年7月1日から)。
天井裏などの措置
換気設備を設ける場合、天井裏、床下、壁内などからのホルムアルデヒドの流入を抑えるために、次のいずれかの措置も必要です。
- 下地材や断熱材などに、第1種・第2種のホルムアルデヒド発散建築材料を使わない
- 気密層や通気止めを設けて、居室への流入を抑える
- 居室の空気圧を、天井裏などの空気圧以上に保つ
試験での問われ方
シックハウス規制は、協会の審査基準で、関連法規の「建築基準法」にあたります。このテーマは、次のような形で知識を使います。
- 規制の対象(クロルピリホス、ホルムアルデヒド)と、規制の種類(禁止か、制限か)を結びつける
- F☆☆☆☆の意味(制限なしに使える)と、星の数と発散量の関係を答える
- 換気設備の義務(住宅などの居室で換気回数0.5回/h以上、その他の居室で0.3回/h以上)を答える
取り違えやすい点は、次のとおりです。
- クロルピリホスは「使用禁止」、ホルムアルデヒドは「使用制限」(禁止と制限の入れ替え)
- 星の数が多いほど、発散が少ない(F☆☆☆☆が最も少ない)。数と発散量の関係の逆転
- F☆☆☆☆は制限なしに使える。使用面積が制限されるのは、F☆☆☆とF☆☆
- 換気設備の義務は、F☆☆☆☆の材料だけを使った場合でも原則として必要(家具などからも発散するため)
- F☆☆☆☆は、ホルムアルデヒドの発散量の等級であり、燃えにくさや環境ラベルのマークではない
独学では、「禁止はクロルピリホス、制限はホルムアルデヒド、換気設備は全部の居室」と、3つの規制を並べて覚えると、整理しやすくなります。
次に読む
- 建築基準法の練習問題:このテーマの問題で、理解を確認します。
- 内装制限:火災の広がりを抑える、内装の材料の制限を整理します。
- 換気方式(第1種〜第3種)と24時間換気:換気方式の種類と、設備の面を確認します。


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