化粧品の広告は、薬機法第66条で虚偽・誇大な広告が禁止され、具体的な線引きは医薬品等適正広告基準が示しています。基本は、効能は56項目の範囲で、保証せず、他と比べて貶めず、医師などの推薦に頼らないことです。(確認日:2026年11月3日)
このテーマのまとめ:化粧品の表示と広告まとめ|全成分表示と56の効能
「どこまで言っていいのか分からない」と迷いやすい分野ですよね。条文、基準、業界ルールの3段で整理していきます。
誇大広告の禁止(第66条)
薬機法第66条は、広告に関する基本のルールです。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 第1項 | 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果、性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、流布してはならない |
| 第2項 | 医師その他の者が効能などを保証したものと誤解されるおそれがある記事も、第1項に該当する |
| 第3項 | 堕胎を暗示し、わいせつにわたる文書・図画を用いてはならない |
ポイントは3つです。
- 「何人も」:メーカーだけでなく、販売者、広告代理店、アフィリエイター、SNSで紹介する個人なども対象になります
- 「明示的であると暗示的であるとを問わず」:はっきり書かなくても、読んだ人がそう受け取る表現はアウトになりえます
- 広告かどうかは3要件で判断:①顧客を誘引する意図が明確、②特定の商品名が明らかにされている、③一般人が認知できる状態、の3つをすべて満たすと広告に当たります。新聞、雑誌、テレビ、ラジオのほか、ウェブサイト、ブログ、SNSなども対象です(平成10年9月29日医薬監第148号通知)
違反したときのしくみ
- 課徴金制度:2021年(令和3年)8月1日から、第66条第1項(虚偽・誇大広告)の違反に課徴金が課されます。額は、違反期間中の対象商品の売上額の4.5%が原則です
- 措置命令:違反行為の中止や再発防止を命じられることがあります
景品表示法の不当表示は、別の法律の別の規制です。重なって問題になることもあるので、景品表示法・特商法と化粧品で区別して確認してください。
医薬品等適正広告基準の主な内容(表)
第66条の「虚偽又は誇大」をどう判断するか、具体的に示したのが医薬品等適正広告基準です。
- 基準:平成29年9月29日付 薬生発0929第4号(厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)
- 解説及び留意事項:同日付 薬生監麻発0929第5号(この通知で、旧解説の昭和55年10月9日薬監第121号課長通知は廃止)
| 項目 | 化粧品の広告での考え方 |
|---|---|
| 効能効果の範囲 | 化粧品は効能の範囲56項目の範囲内。ほかに、事実に反しないメーキャップ効果・使用感の表現ができる |
| 効能・安全性の保証 | 効能や安全性を確実と保証する表現は、明示でも暗示でも不可(例:「副作用がない」) |
| 最大級の表現 | 「最高」「絶対安全」など、最大級やそれに類する表現は不可 |
| 医薬関係者等の推薦 | 医師、美容師、病院、学会などが推薦・指定・公認している旨は、事実であっても原則不可 |
| 他社製品の誹謗 | 他社の製品を実際より悪く表現したり、貶めたりする表現は不可 |
| 品位 | ふざけた表現、嫌悪感を与える表現、性的な表現などを避ける |
化粧品等の適正広告ガイドライン(業界の自主基準)
日本化粧品工業会は、業界の自主基準として「化粧品等の適正広告ガイドライン」を作っています。
- 法令ではなく業界の自主ルールです。法令に上乗せして、表現の目安を細かく示します
- 効能の範囲が改正されたときなどに、あわせて見直されています(2011年の56項目目の追加時にも改正)
- 例:「アレルギーテスト済み」などと表示するときは、近くに「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません」などの注記を入れることが示されています(2020年版)
- 改訂されることがあるため、最新版は日本化粧品工業会の公表資料で確認してください
NG表現の例(表)
次の表は、よく見かける表現が、なぜ問題になるのか、どんな言い方なら範囲内かの考え方を示したものです。実際の可否は、広告全体の文脈や製品の区分で総合的に判断されます。
| NGになりやすい表現 | 問題になる理由 | 範囲内にする考え方 |
|---|---|---|
| 「ニキビが治る」「アトピーに」 | 治る・治療は医薬品の表現 | 洗顔料なら「(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ」の範囲。それ以外は表現しない |
| 「シワが消える」「たるみを解消」 | シワ・たるみの解消は範囲外 | 条件を満たせば「乾燥による小ジワを目立たなくする」 |
| 「傷んだ髪が回復、蘇る」「発毛」 | 回復・再生・発毛は医薬品的な表現 | 「毛髪の水分、油分を補い保つ」「裂毛、切毛、枝毛を防ぐ」 |
| 「デトックス」 | 医薬品的な表現として不可 | 該当する56項目の表現に置き換える |
| 「副作用がない」「肌荒れの心配はありません」 | 安全性の保証 | 保証せず、使い方や使用上の注意を正しく伝える |
| 「皮膚科医師もおすすめ」 | 医師などの推薦 | 推薦・公認に頼らない |
| 「他の化粧品には危険な化学合成物質が入っていますが…」 | 他社製品の誹謗 | 自社製品の特徴を事実の範囲で伝える |
| 「シミが消える」 | 範囲外の効能 | 日焼け止めなら「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」 |
言い換えの考え方の基本は、56項目の言葉に戻ることです。迷ったときは、「その表現は、56項目のどれに当たるか」「保証になっていないか」の2点を確認しましょう。
試験での問われ方(取り違えやすい点)
まずは次の違いを理解しましょう。
- 第66条の対象:「何人も」なので、メーカー以外の個人や販売者も対象です
- 明示か暗示か:暗示的な表現もアウトです
- 第66条と第68条:第68条(承認前の広告の禁止)の対象は医薬品、医療機器、再生医療等製品で、化粧品は含まれません
- 課徴金:薬機法の課徴金は第66条第1項の違反が対象で、売上額の4.5%が原則です
- 推薦・保証:医師などの推薦は、事実でも原則不可。効能や安全性の保証は不可です
- 基準の位置づけ:医薬品等適正広告基準は厚生労働省の通知、化粧品等の適正広告ガイドラインは業界の自主基準です
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